フィリピンの教育制度の変遷

1946年に独立したフィリピンでは、それまで植民地支配をしていたアメリカの影響を受けている。300年に及ぶスペインの植民地時代のカトリック教会によって施された教育の流れを汲む私立系とに大別される。スペインが支配していた時代に、宗教教育しか与えられていなかったフィリピン人は、アメリカが導入した教育に対して積極的な姿勢を示し、このことは、その後の急激な就学者数の増加にも表れている。

≪アメリカがフィリピンに導入した教育制度の特徴≫
 (1) 7-4-4制の教育体系(2012年よりはK-12(K-6-4-2制)開始⇒詳細はコチラ)
 (2) 初等教育無償化
 (3) 師範学校の設置
 (4) 英語による教育 など

フィリピンの国語・公用語

 (1) 国語・公用語であるフィリピノ語(ピリピノ語):タガログ語からの派生語
 (2) 公用語である英語
 (3) タガログ語やセブアノ語など約80種類もの地方言語

授業では2つの教育言語が使われている。
数学・科学などは英語、国語などはフィリピノ語で行われている。

フィリピンの学校制度

小学校と高校のほとんどが【2学期制】を採用しています。
 ◆第1学期は6月~10月
 ◆第2学期は11月~3月
・3月末から6月初旬まで約2ヶ月半の長い夏期休暇があります。
・春休み・冬休みなどの短期のお休みがないため、全体の授業日数は約200日で日本と大差ありません。
・学期の区切りに約1~2週間(学校による)のショートブレークがあります。

フィリピンの教育制度

就学前教育:通常、幼稚園教育を指すが、その他の準備課程を含むこともある。
 2歳半から4歳の生徒は、5歳もしくは6歳まで保育園に通うことが可能。

初等教育:公的学校の義務教育6年(一部の民間学校は7年)
 さらに任意の就学前教育プログラムを意味する。

中等教育:修学年4年の高校に相当する。
 進学条件は、初等教育レベルを修了していることである。

大学・大学院:大学4年制(工学部は5年制)
 その後、大学院2年以上。その他技術職業訓練校がある。

授業料

公立校のみ無料

学級の規模

1クラス約45人

義務教育期間

2013年5月15日,教育制度改革として,10年間の義務教育期間が,13年間(5歳~17歳)に伸長する法が施行。(一部の学校では2012年から導入)
主な変更点として,幼稚園1年を義務教育期間に編入し,中学校4年制の導入,高等学校4年を2年へ短縮。つまり,【K-12】1(幼)-6(小)-4(中)-2(高)制が導入される。

学年

初等教育:幼稚園:5歳
  Grade 1:6歳,Grade 2:7歳,Grade3:8歳
  Grade4:9歳,Grade5:10歳,Grade6:11歳

中等教育
  Grade7:12歳,Grade8:13歳,Grade9:14歳
  Grade10:15歳, Grade11:16歳,Grade12:17歳

修学状況(率)

初等教育:97%(2011年~2012年)
中等教育:65%(2011年~2012年)

授業料


授業料は無料
だが、制服や教材費は有償である。その他にも「教室の物品購入」や「特別授業費」など、様々な理由で寄付を担任に渡さなければならない。
そのため、両親が安定した収入を確保していない場合や親が失業したりすると、経済的な事情で通学をあきらめます。

就学率

就学率は小学校で96%高校では65%と東南アジアの中では高い方である。
しかし、卒業率となると、小学校で68%、高校では50%と極めて悪く、その理由は『家族の経済的な理由』による。

カリキュラム

初等教育および中等教育で期待される授業内容の通達が教育局 (http://www.deped.gov.ph/)より出ている。
初等教育 (小学校) 児童学習を総体的に必要な学習ができるように組んである。
各科目に価値観の育成に大きく焦点を当てたカリキュラムである。
初等教育に基礎的な読み書きができることになるような課程がある。
ゲーム・歌・ダンスを通じて母国語を取得する特徴がある。


科目

(1) English(英語) (2) Science (科学) (3) Math(算数) (4) Pilipino(フィリピン語)
(5) Makabayan(市民教育) の大きく5科目である。

さらに Makabayan(市民教育)は、以下の4つに分かれる。(詳細は下記参照)
(5-1) AP(Araling Panlipunan)
(5-2) TEPP(Teknolochiya at Edukasyong Oantahanan at Pangkabukayan)
(5-3) MSEPP(Musika, Sining, Edukasyong Pangkatawan at Pangkalusugan)
(5-4) EP(Edukasyon sa Pagpapahalaga)

上記からわかるように、音楽や、美術、体育といった単独の科目はなく、ひとつにまとまった授業の中の一つに過ぎないのです。


(1) 英語

英語の教科を重視しており、小学校での目標は、聞くこと、話すこと、読む こと、書くこと、をレベルごとに勉学させ、英語を学び、使用することを子供たちに指導。 グローバルな対話が出来るように、自然に言葉が出るような科目内容にしている。

(2) 科学

科学の理論を勉強するより、日常生活上で客観的に物事を見つめ、科学的方法で問題を解決できるように指導。
グループ学習、外部環境での科学の勉強をし、環境保護、生活の向上に役立てる。

(3) 算数

将来の勉強に非常に大切で、数の数え方を理解させ応用できるように指導。
1、2 年生:数字
 ・足し算、引き算、掛け算、割り算の基本、幾何の基 本的考え方、分数
 ・メートル法と各地域で利用している独自の計算方法や計測単位の使い方
 ・お金の使い方など
3、4 年生:加減乗除の基本の習得
 ・加減乗除・分数、小数点、貨幣、角度、平面図形、計測数値とグラフ
5、6 年生:加減乗除、分数、小数
 ・率や割合、整数、簡単な曲線、多角形、立体数、計測数値、グラフ

(4) フィリピノ語

フィリピン人として自信を持って、聞き、話し、読み、書きとフィリピノ語で考えることができるように指導。
 ◆聞くというのは、自然に耳に入り理解するということである。
 ◆話すということは、発音、言い回し、文法的なことを理解させることである。
 ◆読むということは、語彙を増やし、言葉を理解し、包括的な学習技術になる、
 ◆書くことは手書きが上達にすることと、 文章構成を理解することである。
 学問的言語として使用できるように、文学、政治経済、その他の参考文献を利用して表現力を高める。

(5) 市民教育(民俗・風習学)

現実社会において健全で、フィリピン人としての自覚を育成するための学習。
技術、他文化への感情移入、仕事の効率性、問題解決法、日常での問題決定法などを習得。

この分野では項目が 4 つに分かれている。
 (5-1) Araling Panlipunan (AP)
  ◆1年生:フィリピンの歴史と政治
  ◆2年生:アジア
  ◆3年生:世界史
  ◆4年生:経済
   歴史は年代順に、経済はトピックを中心に学習。

 (5-2) Teknolochiya at Edukasyong Pantahanan at Pangkabukayan
    (TEPP)

  ・家計、農業、水産業、産業、企業家精神を学ぶ。
  ・基本学習は教室で、その後は学外でクラスプロジェクトを行う。
  ・家庭や地域社会で家計について体験学習する。

 (5-3) Musika, Sining, Edukasyong Pangkatawan at Pangkalusugan
   (MSEPP)

  ・生徒の個性、社会性、美的技術や価値観を勉強する。
  ・音楽の要素・スタイルを聴き、歌い、演技し、読み、そして創作する。
  ・フィリピン・他国の音楽を同様に、その芸術性、価値について深く理解する。
  ・視覚技術について は、製図、絵画、2~3 次元の芸術などを学習。

 (5-4) Edukasyon sa Pagpapahalaga (EP)
  ・総合的健康(身体的、精神的、個性)を取得する勉強。
  ・EP は生徒の 青春期における一つの目標とし、価値観、反応や評価分析、人としての総合力を養成するものである。
  ・教師の役割はそれぞれの教科について、慎重にこれらの価値を経験を通した学習方法で接した指導をすることである。
  ・活気あるホームルーム・ガイダンス・プログラムがEPプログラムを成功させる鍵になる。


フィリピンの教育関連の法律

1947年:指導省 (Department of Instruction) を教育省 (Department of Education) に変更。
1978年:教育文化省 (Ministry of Education and Culture)に名称変更。13の地域事務所を開設し、教育システムの実施。
1982年:教育法が施行され、教育、文化、 スポーツ省を制定。
1995年:CHED (大学等の全国統一管理目的) と、TESDA (労働者の技能、技術向上のため)を追加。
2001年:教育基本法を制定 (Governance of Basic Education Act)。地方教育事務所を再定義し、地域事務所、地方部、地区事務所、および学校が、地域での教育の主導権を地方予算で実施するよう改正。
2013年:K-12開始(詳細はコチラ)

教育機関の組織

基礎教育 (初等教育および中等教育)の管理、監督、および規制を行う責任は教育省 (http://www.deped.gov.ph/)が担当している。
高等教育に関する当該の責任は高等教育委員会に委ねられている。
なお、中等教育後の技術職業教育は、TESDA (技 術教育技能開発庁)の管理下にある。
TESDA は、就業していない若年層および失業した地域社会の成人の技能指導、訓練および開発も担当している。