セブ近海の有名な島の1つにヒルトゥガン島という島があります。先日訪れる機会があったので、少し島の生活をのぞいてみました。
ヒルトゥガン島は、空港のあるマクタン島からボートで1時間ほどの場所にあります。セブ近海でマリンサンクチュアリ(海洋保護区)を設けた最初の島でもあるため、アイランドホッピングで毎日たくさんの観光客が訪れています。そのため、島の入り口には観光客向けの大きなレストランが設けられていますが、そこから少し島内に入っていくと、人口約1000人の漁村があります。
ヒルトゥガン島の巨大レストラン
学校もある小さな村
観光客向けに海で拾った貝殻を売っていた子どもたちが、偶然にも村の中を案内してくれました。観光客向けの施設のある場所から、人々が住んでいる村に行くには、草の生い茂る獣道を進んでいきます。しばらく歩いていくと、目の前が突然開け、村の広場に出るようになっていました。
小さな島の大きな差
村の中にはたくさんの家やサリサリと呼ばれる小さな商店、そして大きな小学校もありました。ほとんどのことが小さな島の中でできるようになっています。このような小さな島の中にも、貧富の差が存在し、コンクリートの大きな家に住んでいる人も居れば、竹やベニヤ板などでできた小さな家もあります。
水道がありません!
小さな孤島のため、水道はありません。もちろん、観光客向けのゾーンには水道も水洗トイレもあります。しかし、その水は村までは引かれていません。そのため、村の男たちがマクタン島などの他の島に行き、水を汲んでそれを共有していました。各家庭にトイレはなく、村の中央に共用のトイレが1つだけです。「水は大事なものだから、大切に使わないとね!」と、案内してくれた女の子の一人も言っていました。
水を運んでいる男性 共用トイレ(フィリピンではトイレをCRと言います)
100ペソの貝殻
ぐるりと島内を一回りして、お礼をいって帰ろうとしたところ、子どもたちが突然「この貝殻たちを買ってくれ」と言ってきました。彼女たちは、ガイド料として観光客に貝殻を売ることで、家計を助けています。貝殻は1つ100ペソ(約220円)でしたが、100ペソというのは貧困層のフィリピン人にとって家族が1日生活するのにも十分な金額です。だからこそ、彼女たちは必死に貝殻を売るのです。その光景に胸が痛みました。
みんなで助け合って生きていく
村の人々は助け合って、島での生活を楽しんでいるようでした。歩き回っていると、ガイドの子どもたちや私たちに笑顔で挨拶をしてくれる人がたくさんいます。村の様々な場所には人々が集い、話したり麻雀を楽しんだりしています。島民たちの時間がのんびりと流れる島でした。
フィリピンにはこのような小さな島がたくさんあり、元来自給自足の生活を続けてきました。しかし、近年観光開発が進み、この島のように小さな島の中に、観光客向けの高級レストランやホテルが建設されています。お金がなくても笑顔で暮らす島民のすぐ横で、数千ペソのお金が日々やり取りされています。高級レストランとお土産売りの少女たち、島民の笑顔を目の当たりにし、なにが幸せか、なにが豊かさなのかを考えさせられました。