現在、セブ市のゴミ処理場は問題が山積みです。今回は、それらの複雑な問題を徹底的に追及します!

フィリピンのゴミ処理事情

フィリピンでは1999年に制定された大気汚染防止法によって、有害物質を発生させるゴミの焼却が禁止されています。この法律は、ゴミの焼却自体を禁止するものではなく、焼却の過程で有害物質が発生することを禁止しています。そのため、それらを発生させないように適切な設備を備えた焼却場であれば焼却は可能ですが、現在そのような焼却場はありません。(ただ、マニラでは日本の日立造船が焼却場の建設を計画しているようです。)
焼却ができないため、ゴミの処理方法は埋立です。そのため、各地に衛生埋立場(Sanitary Landfill)が存在します。

衛生埋立場の実態

衛生埋立場とは、文字通り衛生的に埋立を行う場所です。そのためには、ゴミ投棄後すぐに土を被せゴミの飛散や虫の発生を防いだり、汚染水の処理をする設備などを備える必要があります。しかし、フィリピンの衛生埋立場ではそのような措置が取られていない、もしくは設備があっても機能していない場合が多く、ただゴミを積み上げるだけのオープンダンプサイトになっています。ゴミを積み上げるだけのオープンダンプサイトは、虫の大量発生や汚染水の垂れ流し、悪臭など衛生環境はとても悪いです。

セブ市のオープンダンプサイト

最近までセブ市で排出されたゴミは、イナヤワンという地区にあるオープンダンプサイトに投棄されていました。しかし、当初の計画の倍以上のゴミが投棄されたことや衛生埋立場としての機能を果たしていないことなどから2016年12月に完全閉鎖されました。
その後、新たな最終処分場が見つからなかったため、隣のコンソラシオン市にある最終処分場にゴミを運んでいました。ただ、コンソラシオンの最終処分場にゴミを運ぶためにイナヤワンは最終処分場を閉鎖した後もゴミの一時保管所として機能しています。
▶当団体では今年2月に起きたイナヤワンでの火災の被災者の支援を行っています。イナヤワン、そして火災支援についてはこちらをご覧ください。
「イナワヤン「ゴミ山」の今」
「イナヤワン地区火災被災者支援」

コンソラシオン衛生埋立場

コンソラシオン衛生埋立場は、民間企業であるAsian Energy Systemが運営を行っています。しかし、コンソラシオン衛生埋立場も衛生上、安全上の適切な措置がなされていませんでした。今月初めには、地滑りが起こりゴミを投棄していた作業員が1名亡くなりました。また、汚染水の排水も基準値以上であったため、環境庁から運営停止命令が下されました。

新たな衛生埋立場

コンソラシオン衛生埋立場閉鎖後、政府は昨年から建設が始まったセブ市内の山岳地帯にあるビナリウ衛生埋立場にゴミの投棄を始めました。
しかし、近隣の住民から悪臭雨天時に汚染水が流れてくるなどの苦情が相次いでいます。また、埋立場の建設は前市長が関わっています。前回の選挙で市長の交代が決まり、前市長と不仲である新市長はその閉鎖を考えているそうです


閉鎖を訴える住民
参照:Cebu Daily News

まとめ

上記のように、セブのゴミ処理問題は混迷しています。多くの最終処分場では、ゴミから使えるものを売って生計を立てているウエストピッカーの人々がいます。彼らにとって、それは日々の収入を得る仕事なのです。このように最終処分場の問題は、環境だけではなく人々の生活にも関わっています。現在、イナヤワンのゴミの一時保管所では、入場を許可されているウエストピッカーの数が制限されています。そのため、入場許可を持っていない人々は、少しでも収入を得るために一時保管所への入場を待つトラックに飛び乗ってゴミを集めている状況です。
このように、政府が最終処分場の閉鎖や移転を考える際、それらの人々の状況が考慮されることはありません。閉鎖や移転には巨額のお金が動いており、政治家や大企業などの富裕層が関係しています。そのため、生活に最も影響のあるウエストピッカーの人々ではなく、それらの富裕層の意向に沿って事業が進んでいきます。このような構図は、最終処分場の問題だけではなく様々な場面で見られます。それは、フィリピンの根深い問題であり、貧困がなくならない大きな要因でもあるのです


トラックの上に乗ってゴミを集める人々