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Taptapの農家と駆け抜けた1年間。土づくりから市場開拓まで、確かな成果と次なる挑戦

Taptapの農家と駆け抜けた1年間。土づくりから市場開拓まで、確かな成果と次なる挑戦
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DAREDEMO HEROは、セブ市山岳地域のTaptap地区にて、零細農家の収入向上による貧困脱却を目指す「草の根協力事業」をJICAと提携して進めています。

過酷な自然環境や高価な化学肥料・農薬の購入による低収益に直面してきた農家に対し、一方的な物資の支援ではなく、「共に学び、共に成長し、共に地域を変えていく」という姿勢で歩みを進めてきました。

2025年10月のスタートから、無事に1周年という節目の日を迎えることができました。100世帯と共にまいた小さな学びの種は、この1年でTaptapの土の中に着実な根を張り始めています。

この1年間で生まれた「4つの大きな変化」

プロジェクト開始から1年。現場では単に技術を伝えるだけでなく、農家自身の意識や地域の環境において、大きな4つの成果と変化が生まれました。

  • ① 「教わる側」から「教える側」へのリーダーの成長
    地域のSitioリーダーが技術を学び、自ら講師となって農家49名へ研修を実施する「指導者」へと変化。
  • ② 有機資材の自作方法を習得
    卵の殻やハーブなど地域で入手できる材料を活用した資材づくりを学び、高価な購入資材への依存を減らす取り組みを進めています。
  • ③ モデルファームが地域の学びと実証の拠点へと成長
    粘土質の土地を再生させ、周辺地域からも約30名の農家グループが視察に訪れる場所に成長。
  • ④ 有機農業に対する「農家全体の意識の転換」
    今年度の大きな成果の一つは、有機農業を現実的な選択肢として捉え、自分でも試してみたいという農家が増えてきたことです。

ここからは、この1年間で生まれた具体的な変化と取り組みを振り返っていきます。

1. 「教わる側」から「地域を導く指導者」へ成長したリーダー

プロジェクトの要となったのが、各地域を引っ張る10名のSitioリーダーです。最初の研修で「どうすれば地域の仲間に分かりやすく伝えられるか」を真剣に考えていた彼らは、この1年で目覚ましい成長を遂げました。

この成長を支えるために、全体のセミナー前に、まずSitioリーダー限定の事前ミーティングを行いました。事前に内容を深掘りして学び、疑問を解消してから本番に臨むことで、リーダー自身が自信を持って知識を身につけることができました。

さらに大きかったのは、リーダー自身が自分の畑で変化を体感したことです。土づくりを繰り返したリーダーからは、「固かった土が柔らかくなり、格段に育てやすくなった」という声が上がりました。

伝え聞いた知識だけでなく、「自分で試して本当に違いを感じた生の声」だからこそ言葉に説得力が宿り、地域の農家の心へ強く届くようになりました。

その結果、5月にはリーダー自らが講師となり、地域農家49名を対象とした「育苗・苗管理セミナー」を開催・指導するまでに変化。研修出席率は80%以上が55名、60%以上が68名を記録し、農家たちの強い熱意を引き出す原動力となりました。

有機農業マニュアルの基礎版を作成し、CAFEiによるビサヤ語への翻訳も進みました。今後はSitioリーダーの実践や意見も反映し、地域で継続的に活用できる資料へと仕上げていきます

2. 希望を形にしたモデルファーム

学びの拠点であるモデルファームは、立ち上げ当初、固い粘土質で有機物も少なく、深刻な水不足に悩まされている厳しい土地でした。

この厳しい環境を変えたのが、日本人農業インターンと地元Taptapの零細農家から雇用した現地メンバーです。これまで恵まれない環境にあった地元の農家をスタッフとして迎え、適正な給料を支払うことで収入向上を支えながら、日本の農業技術やノウハウを直接伝授してきました。

彼は今、日々の土壌改良や緑肥、多品目栽培に取り組み、将来的にインターンの代わりとなって地域を支える「架け橋」としてたくましく活躍しています。

育て上げたモデルファームは今や青々とした野菜で満たされ、Taptap内にとどまらず近隣地域の農家グループが「自分たちも学びたい」と視察に訪れるほど、地域全体の希望の場所になっています。

3. 土づくりから種の保存、そして現場の「リアルな課題」との向き合い

この1年間、パートナー団体と共に農家の暮らしや現地環境に合わせた多角的な研修と実践を重ねてきました。

  • 有機農業の基礎と資材の自作
    土壌pHの測定や等高線農法に加え、卵の殻やハーブなど身近な材料で作れる5種類の有機資材自作技術をマスター。売上の6割以上を占めていた高価な化学肥料代を大幅に削減し、手取り収入を増やす基盤を整えました。
  • 現場の課題分析と適正管理
    農家10世帯への調査で判明した複数農薬の混用や重複使用に対し、有効成分や散布日を記録する重要性を共有・指導しました。
  • 種の自家採取とシードライブラリー構築
    第2年次には、Global Seed Saversと連携し、種子採取用区画の設置やSeed Library(共同種子保管)の仕組みづくりを進める予定です。。
  • 行政や専門機関との手厚い連携
    フィリピン農務省での土壌成分分析に加え、過去にJICA支援の歴史がある検査機関のDA-SPALから、本事業に対し、可能な範囲で残留農薬検査を無料で実施したいとの協力意向を示していただきました。

4. 3年間の戦略的ステップ:支援の輪を広げ、地域全体の貧困脱却へ

本事業では、初年度の100世帯からスタートし、2年目に約50世帯、最終年となる3年目には20名へと、段階的に直接支援の対象を深化させていきます。

この支援対象のステップアップは単なる選別ではありません。限られた支援期間の中で「自立した持続可能な貧困脱却モデル」を地域に定着させるための戦略です。

  1. 「仕組みを知る」から始める(1年目:100世帯)
    まずは多くの農家が有機農業の可能性を実感し、「自分たちの手でコストを下げ、手取りを増やせる」という解決策と未来の展望を理解します。この体験があるからこそ、自らスマートフォン等で学び始めるような自発的な変化が地域全体に芽生えます。
  2. 「実践と成功体験」を積み重ねる(2年目:約50世帯)
    自分の畑に実践区画を設け、個別指導のもとで「確実に収益が増える成功モデル」を実証します。農家自身の成功体験が、周囲の農家への強力な動機付けとなります。
  3. 「地域を引っぱるリーダー」の誕生(3年目:20名)
    第2年次の実践状況を踏まえて約20世帯に対象を絞り、モデル農家としてより重点的な技術・栽培・種子管理の支援を行います。その実践や成果が周囲の農家にも共有され、地域の中で技術が広がっていくことを目指します。

外部からの支援に頼り続けるのではなく、「技術をマスターした20名のリーダーが軸となり、地域住民同士で教え合い、村全体の貧困を自発的に解決していくシステム」をつくること。初年度に生まれた農家たちの前のめりな姿勢こそが、この持続可能な未来を引き寄せる最も大切な第一歩なのです。

2年目は、選ばれた約50世帯の農地に小規模な実践区画を設け、日常的に記録が付けられる壁掛けカレンダー教材なども活用しながら、一人ひとりの農地に合わせた個別指導を強化していきます。

Taptapをセブで一番豊かで幸せな農業地域に

この1年間で最も大きな収穫は、Taptapの農家が見せた「自分たちの力で地域を変えたい」という強い意思と行動力です。

最初にドラム缶や種を届けた頃、ここまで農家自身が地域の仲間に技術を教えるようになるとは、どのくらい想像できていたでしょうか。今では10名のリーダーが講師となり、49名の農家に育苗や苗の管理を伝えています。

このプロジェクトは、私たちが支援するだけでは成り立ちません。地域住民の主体的な参加、行政の理解と協力、そしてパートナー団体の専門的な知見、すべてが合わさってはじめて成功へとつながります。

Taptapが「セブで一番豊かで、子どもたちが夢を語り、誇りを持って暮らせる農業地域」になるその日まで、私たちは地域の農家と共に一歩ずつ、着実に歩み続けていきます。

プロジェクトを支えてくださるJICAの皆様、パートナー団体の皆様、そして温かく見守ってくださる支援者の皆様に心より感謝申し上げます。2年目の挑戦も、ぜひご期待ください。

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