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「投資」と「社会投資」の違いから考える

「投資」と「社会投資」の違いから考える
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現在、社会投資家グループSIA様からご支援を頂き、イナヤワン火災地区の自立支援を行っています。そこで感じたことをまとめました。

▶詳細はこちらをご覧ください「イナヤワン地区火災被災者支援」

投資と社会投資の違い

投資:利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。

社会投資:特定の社会問題の解決のために、問題解決に取り組む団体や事業に資金を投下し、その問題を解決することで社会に利益をもたらすこと。

この2つの一番の違いは「リターン」です。

投資はもちろん、金銭的なリターンが主な目的ですが、社会投資のリターンは個人に対するものではなく、社会に対するものです。個人に還元されるものは、金銭的なものではなく精神的なものになります。

日本の常識は通用しない

フィリピンでの支援活動、経済活動をしていく中で、よく「騙された」という言葉を耳にします。この「騙された」という言葉は、期待したリターンを得ることができなかったという意味だと思います。

残念なことに、フィリピンにも悪い人は存在します。しかし、中には日本の常識で判断したが故に起きた不幸もあるのではないでしょうか。

助け合いの文化

フィリピン人の多くは、敬虔なカトリックです。その教えに「持てるものは持たざるものと分かち合わねばならない」という教えがあります。この考えから、フィリピン人の多くが家族や親せき、近所の人々、友人同士で助け合って生きています。

このこと自体は、非常に素晴らしいことで、温かいことだと思います。しかし、それが当たり前になってしまうと、そこから派生するマイナスの作用も生じてきます。

フィリピン人にとって施しは時として、他者からの助けではなく「神様からの贈り物」として理解されます。贈り物は返済をする必要はありません。その理解が湾曲してしまった場合「借りたお金を返さない」という結果になってしまうのです。

説明の重要性

日本人が家族や友人を助ける際、いかにその行為が価値あることで、大変なことかを説明することは美徳とされないかもしれません。中には「恩着せがましい」ととらえる人もいるかもしれません。

海外で出稼ぎをするフィリピン人の多くもこの美徳を持って家族を助けています。そのため、いかに海外で苦しい節約生活をしていても、その実情を伝えず、母国の家族にお金を送り続けます。その結果、母国の家族はお金の価値を理解できず、散財してしまうのです。

一方、出稼ぎをするフィリピン人の中にも、海外での生活がいかに大変で、自分がいかに苦労をして仕送りをしているか、しっかり説明している人もいます。そうすれば、家族が一生懸命働いて送ってくれたお金を、大事に使おうと思うのです。

DAREDEMO HEROでは、支援する子どもたちや保護者に必ず、ご支援くださった方の想いを伝えています。当団体のご支援者様の中には、高校生や大学生もいます。経済的にゆとりのある方ばかりでもありません。その中でも「自分のできることで誰かを助けたい」という想いでご支援くださっていることを伝え続けています。
「子どもにそんなことを伝える必要はないのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、子どもたちがその想いを受け取り、自分はどのようにその想いに応えるべきかを考える必要があるのです。

被災地の支援も同様です。どのような方々が、どのような想いをもって支援してくださるのかを、しっかり説明する必要があります。そうしなければ、以下のような誤解が生じてしまいます。

「日本人はお金持ちだから、いくらでも簡単にお金をくれる」
「日本人が神のご加護を運んでくれた」

このような誤解が生じてしまった時点で、その支援は失敗といえます。

契約書の重要性

フィリピンは契約社会です。DAREDEMO HEROでは、支援する子どもたちと保護者とも正式な契約書を結んでいます。それは、被災地支援やその他のプロジェクトでも同様です。
ビサヤ語の書面による十分な説明のもと、支援する側される側が、しっかりと契約を結びます。

被災地支援でのリターン

今回のイナヤワン火災地区の支援では、養豚を使った自立支援を行っていきます。そこで耳に入る言葉があります。

「フィリピンの養豚では儲からない」

確かにフィリピンでは養豚を用いた投資話はよくあります。ただし、今回の私たちが行う支援は、投資ではなく社会投資なのです。

先に述べたように、社会投資のリターンは個人に対する金銭的なリターンではありません。今回の支援の目的は、

第一に被災者の自立であり、支援者様に対する金銭的なリターンではありません。

支援のミスマッチはなぜ生じるのか?

金銭的なリターンがないのであれば、投資という言葉を使わずに、ただの寄付でいいのではないかと思うか方もいらっしゃるかと思います。しかし、今回の支援はただ与えるだけの寄付ではありません。

支援のミスマッチ~想いを現地に届けるために~ でも述べているように、貧困地区や被災地ではたびたび支援のミスマッチが生じます。

その一番悲しい結末が、支援される側の人々に依存心を植え付け、自立を妨げる支援です。
▶詳細はこちらをご覧ください。「被災者の一人一人の自立のために!」

このようなことが生じる原因は、支援する側、プロジェクトを遂行する側、両者の想いのすれ違いにあります。多くの場合、支援する側は、自身の支援がより有効に使われることを祈って支援を行います。プロジェクトを遂行する側も、いただいた支援をより有効に問題解決のために活用できるよう努力をするものです。

しかし、まれに両者が求める「リターン」が、より金銭的・物質的なものに特化した場合、それらのバランスが崩れてしまう場合があります。

そんな中でも、何の支援もないよりは助かっている人々はいます。しかし、一時的なばら撒き支援は本当の意味で、対象者のためにはなりません。

金銭的なリターンよりも価値あるリターン

今回のイナヤワン火災地区の支援では、被災者の自立のために、被災者が発災前に生業としていた養豚を再開できるよう、豚の提供と養豚を行うために必要な環境整備を行います。

それらの支援は、無償提供されるものではなく社会投資という形で、貸付けられます。返済金は出資者に返金されのではなく、DAREDEMO HEROの行う教育支援へと寄付されます。

ただ与えるだけの支援では、依存を生んでしまうかもしれない支援が、被災者の自立を促し、さらに貧困層の教育支援にもつながるのです。

この支援により恩恵を受けるのは、被災者だけではなく、DAREDEMO HEROの子どもたちであり、DAREDEMO HEROの子どもたちが夢をかなえた際に助けられる、さらに未知数の未来の子どもたちなのです。

DAREDEMO HEROの活動でのリターンとは?

私たちDAREDEMO HEROでは、ご支援いただいた方々に金銭的なリターンをご提供させていただくことはできません。

しかしながら、皆様のご支援により、すべてを失った被災者を第3者の支援なしに自活できるよう支援することができます。学校に行くことのできない子どもたちを学校に通わせ、叶うはずのなかった夢を叶えることができます。そして最終的には、貧困の苦しみを本当の意味で理解している子どもたちを、この国を変えるための人材として育て上げることができます。

そこには、子どもたちのたくさんの笑顔と希望があふれています。皆様のご支援なしには咲くことのできない笑顔と希望です。

人の人生に関わり、関わった人々をより幸せに、笑顔にすることができる喜び。

DAREDEMO HEROが、ご支援者様にお約束できるリターンはこれだけです。

DAREDEMO HE ROの活動をご支援ください!

月1000円でラーニングセンターに通う子ども一人の1か月分の軽食を提供や、30人の子どもたちに炊出しができます。