DAREDEMO HEROでは、最貧困層の子どもたちに学びの機会を提供するために、ラーニングセンターを運営しています。今回はその一つである、カレタラーニングセンターについてご紹介します!
目次
カレタ墓地について
推定15,000人の遺体と100の家族が暮らす、セブ市最大の墓地と呼ばれるカレタ墓地は、セブ市の中心地にある広大な公営墓地です。フィリピンの富裕層のお墓には屋根や壁があり、そこに管理人として住んでいる最貧困層がたくさんいます。キリスト教であるフィリピン人は、基本的に火葬をしないため、お墓の中にはご遺体がそのまま収められています。そんな棺をベットやテーブル代わりに生活をしています。
住民が「家」として使っているお墓の所有者は、月に約70円~450円程度の賃金を住民に支払い、お墓の管理を依頼しています。しかし、これらの賃金ですらまともに支払われないケースもあります。
長年この地区には水道がなく、生活用水はお墓の外から購入しなければなりません。また、使用している電気は、ほとんどが違法な盗電によるものです。トイレもなく、ゴミは空き地に放置されています。多くの墓地が不衛生な状況にあり、大腸菌などの感染症の原因になっています。
墓地に住む人・働く人
なぜ、人々は遺体の眠る墓地で生活しなければならないのでしょうか?
それは、ここでしか生計を立てることができないからです。現在、この墓地に住む人々の多くは、親の代からこの墓地で生活しています。そのため、十分な教育を受けておらず、生きていくためには小さいころから学んだ墓地に関連した仕事をする以外、選択肢がありません。
子どもたちは小さなころから、墓参客が捧げたキャンドルの溶けたロウを集めて、キャンドルメーカーに販売します。大人は、子どもたちが集めたロウからキャンドルを作り、墓参客に販売しています。それ以外にも、お花やスナックなどを販売している人たちもいます。
他には墓石に名前を掘ったり、ご遺体を埋めるための穴を掘ったり、人骨の移動など一般的には忌み嫌われる仕事もあります。しかし、それらの仕事が唯一ここに住む人々が収入を得る手段なのです。
この墓地の大きな問題のひとつは、コミュニティー内に水道や電気などのライフラインがないことです。さらにトレイもほとんどありません。人々は生活に必要な水を墓地を囲む高い壁の外から購入しなければなりません。電気も同じく墓地の外から延長コードで引くしかなく、電気のない家も多いです。
トイレがないことで、墓地内の衛生状態は非常に悪く、トイレとして使われている場所は常に悪臭が漂っています。
墓地に住む子どもたち
墓地に住む人々の月の収入は、1万円に満たないこともあります。そのため子どもたちは十分な食事をとることができません。そんな子どもたちが定期的に口にすることができるのは、葬儀の際に遺族が配るスナック菓子です。フィリピンの葬儀では関係者が墓地に行き、そこでスナックや軽食が振舞われます。それらが残った場合、自宅に持ち帰ることを忌み嫌う風習があり、墓地にいる子どもたちに配布されます。しかし、それらのほとんどがジャンクフードで、決して身体にいいものとは言えません。しかし、空腹を満たすためには、それらを食べるしかありません。
先に述べたように、ここに住む子どもたちはロウを集めたり、お墓を掃除したりと、自ら仕事を見つけて家族のために働いています。そのため、学校に行くことができない子どもたちもいます。さらに学校に行っても「墓地に住んでいる」ということで、いじめの対象にもなり、そのために学校に行くことをあきらめてしまう子どもたちもいます。
2021年 ラーニングセンター開設
墓地で暮らす子どもたちに、コロナ禍でも学びの機会を提供し、将来の可能性を広めるために、DAREDEMO HEROは2021年にカレタ墓地に、ラーニングセンターを開設しました。墓地という特殊な地域のため、建物を建てることができないため、墓地のひとつを教室としてスタートしました。一般的には驚かれることかもしれませんが、ここに住む人々に墓地とともに生きているため、抵抗はありません。
ラーニングセンターが子どもたちにも地域の人々にも定着してきた、2021年12月に、コロナ禍で苦しむ貧困層をさらに苦しめる災害が起きました。それが、スーパー台風オデットです。記録的な暴風雨がセブ全域を襲い、カレタ墓地でも家屋の損壊、停電に断水など、甚大な被害が出ました。
2024年、多くの皆様のご支援のもと、念願の新ラーニングセンターを建設することができました。
子どもたちが学び続けていくために必要なこと
子どもたちが学び続けていくためには、様々な仕掛けが必要です。DAREDEMO HEROラーニングセンターの特徴をご紹介します。
教員資格を持った専任スタッフ
ラーニングセンターには、フィリピンの教員資格を持った専任のスタッフがいます。カレタ担当である、ジェイゾンは、同じくカレタ地区に住んでおり、子どもたちの良きお兄さん、お父さんとして地域の信頼を得ています。
毎日のスナック・軽食
ラーニングセンターで勉強した子どもたちには、必ずスナックや軽食の提供をしています。食べ物を子どもたちの動機づけに使うことには、賛否があると思います。しかし、これがなければ、親の中にはラーニングセンターで勉強するよりも、墓地で仕事をすることを強要してしまいます。さらに、日常的にジャンクフードを食べている子どもたちには、少しでも栄養バランのとれた食事が必要です。
無遅刻無欠席者へのお米の配布
日々のスナックも重要ですが、子どもたちが働こうとする一番の動機は「家族を助けるため」です。自分だけがスナックを食べることができれば、それでいいとは子どもたちは考えていません。そんな家族思いの子どもたちのために行っているのが、無遅刻無欠席の子どもたちに対するお米の支給です。
これにより、がんばって勉強をすれば、家族のために貴重なお米を持ち帰ることができます。家族のために何かできることが、子どもたちにとっては大きな喜びであり、誇りでもあるのです。
学習に必要な物資の支援
最貧困家庭では、日々の食事が何よりも大切なため、子どもたちが勉強するために必要な文房具などを購入する余裕はありません。そのため、DAREDEMO HEROでは子どもたちが学び続けるために必要な物資を定期的に支援しています。対面授業が再開するにあたり、全員に対して制服・通学靴・通学鞄の支給も行いました。
様々な授業内容
ラーニングセンターでは、学校の勉強だけでなく、子どもたちに様々な機会を提供しています。特にこの2年以上、対面授業を受けることができていない子どもたちにとって、何かを考えたり作り上げる機会を提供することは大切です。さらに、墓地に住むということで阻害されがちな子どもたちが、自分たちに自信を持てるように様々なアクティビティーも行っています。
子どもたちの健康管理・歯科治療
子どもたちが学び続けるためには、健康な身体が必要です。そのため、DAREDEMO HEROでは、ラーニングセンターに通う子どもたちに対する身体測定や、医療サポート、さらに歯磨き指導や歯科治療を行っています。
特に虫歯の問題は深刻で、これまで一度も歯磨きをしたことのない子どももおり、子どもたちの多くが非常に深刻な虫歯を抱えています。まずは、歯磨きを習慣化させることと、治療不可能な虫歯の抜歯が必要となっています。
DAREDEMO HERO奨学生への可能性
ラーニングセンターでの支援は、基本的に基礎教育に関する学習サポートと健康管理がメインで、大学進学までの支援は約束されていません。しかし、ラーニングセンターの通う子どもたちの中で、やる気と能力、さらに志の高い子どもたちは、DAREDEMO HEROの奨学生となり、大学進学までの支援が約束されます。
カレタ墓地から奨学生となった子はまだおりませんが、将来的にラーニングセンターからこの地域の人々の生活を改善するためのリーダーが生まれることを期待しています。
皆様へのお願い
上記の支援を子どもたちに続けるためには、皆様からの継続的なご支援が必要です。ドリームサポーターでは、毎月1,000円から、ラーニングセンターの子どもたちをご支援いただくことができます。継続支援ですので、ご支援者様が増えることで、子どもたちが安心して学校に通い続けることができるようになります。
さらに、現在の教室はお墓のひとつを利用しているため、将来的には敷地内に独立したラーニングセンターを建設することを目指しています。
1,000円(1日約33円)のご寄付で何ができるのか?
- ラーニングセンターに通う子ども1人に一か月軽食を提供できます。
- ラーニングセンターに通う子どもたちが、学校に通うための文房具一式を購入できます。
- 最貧困地区で30名に対して炊出しができます。
- 10キロ(約2週間分)のお米を貧困層に届けることができます。
- 最貧困地区の子どもたちの歯科治療(抜歯一本)が可能です。
子どもたちが、夢と希望をもって学び続けられるように、そして子どもたちの選択肢が少しでも増え、可能性が広まるように、皆様のご支援、よろしくお願いいたします。