2023年6月19日から24日の6日間、南山大学の学生7名が参加し、宿泊型のスタディーツアーを開催しました。
目次
DAREDEMO HEROのスタディーツアー
発展途上国の貧困地区での活動を行う際、どうしても「何かをしてあげる」という気持ちが先立ってしまいます。しかし、DAREDEMO HEROのスタディーツアーは、何かをしてあげるための機会ではなく、学びあうための機会と定義づけています。
さらに、団体主導のアクティビティーに参加するのではなく、参加者自身が考え、企画したアクティビティーを実行するのが、DAREDEMO HEROのスタディーツアーの特徴です。
▶1日スタディーツアーについては「こちら」をご覧ください。
1日目:オリエンテーションと山岳農村地区訪問
スタディーツアーでは、まずはじめにオリエンテーションの時間を十分にとっています。オリエンテーションでは、フィリピンの法律に沿って「Child protection policy(子どもの権利を守るための法律)」や、DAREDEMO HEROのミッション・ビジョンの共有を行います。
たとえ短期間であっても、スタディーツアーの参加者は、団体の一員として活動に加わっていただきます。訪問先である支援地区の人々の日常を尊重し、迷惑が掛からないように行動する必要があります。さらに、活動の目的やそれぞれの目標を明確にすることで、より充実した時間を過ごすことができます。
参加者にとっては、上り下りだけで命がけの山道を、農家の人々は50キロ以上の農作物を背負って行き来し、子どもたちは毎日、この道を通学しています。「貧困とは何か」を改めて体感する機会となりました。
2日目:公立学校訪問・バランガイキャプテンへのインタビュー
2日目は団体職員である、ソーシャルワーカーや教員へのインタビューから始めました。現地のスタッフが、どのような想いで日々活動に取り組んでいるか、フィリピンの文化やフィリピン人の特徴など、現地スタッフだからこそ伝えられる内容をゆっくりと聞き取ることができました。
午後は、奨学生の通う公立学校を訪問しました。日本の学校とは違い、設備が十分に整っていない中で、たくさんの子どもたちが一生懸命授業を受けています。今回は、日本語の自己紹介を子どもたちに教えました。
学校訪問の後には、バランガイ(最小自治区)ホールを訪問し、地域のトップであるバランガイキャプテンにインタビューをさせていただきました。貧困以外の地域の問題や、日本とは違った政治システムを垣間見ることができました。
3日目:最終処理場視察(ゴミ山)
3日目の引き続き、現地大学に通うインターン生や、奨学生の保護者に対するインタビューを行いました。オリジナルの支援活動を実施するにあたり、自分たちの思い込みで準備を進めないよう、現地の人々の意見をしっかりと聞いて、必要とされる支援活動を計画しました。
午後は、支援地区のひとつであるイナヤワン最終処理場を訪問しました。5日目にはこの地区にあるラーニングセンターで、子どもたちに対する授業を行うため、まずはこの地域のことを深く理解する必要があります。なぜフィリピンにはゴミ山があるのか、そしてなぜ人々はこの地に住み着くのか、この地域の人々は何を思ってどのような生活を送っているのか。短時間の訪問ですべてを知ることはできませんが、現地の人々に聞き取りを行うことで、その一部を理解することに繋がりました。
ゴミ山の帰り道、セブの歴史を知るためのショートシティーツアーを開催しました。現地の人々をより深く理解するためには、歴史や宗教を学ぶ必要があります。また、日本と連合軍がこの地で激しい戦いを行い、多くのフィリピン人が犠牲になった事実も知る必要があります。
様々な歴史の上に、今があることを忘れてはいけません。
4日目:墓地での活動・オリジナル支援活動の実施
4日目は、DAREDEMO HEROのスタディーツアーの特徴のひとつでもある「オリジナル支援活動」の実施日です。ツアー前半で学んだ現地の状況を踏まえて、自分たちに何ができるか、どのように伝えればいいのかを時間をかけて計画しました。結果として今回は、ストレスマネージメントについてのレクチャーを現地のお母さんたちを対象に行うことになりました。
少しでも楽しく、親しみをもって話を聞いてもらうために、歌やダンス、現地語であるビサヤ語を取り入れ、レクチャーを行い、終始笑顔があふれる時間となりました。
お墓からの帰り道、セブの高級住宅地として知られる場所を訪問しました。普段は住人しか入ることのできないビレッジと呼ばれるエリアに入ることで、セブの貧富の差を目の当たりにすることができました。
5日目:ラーニングセンターでのオリジナル授業
5日目は、DAREDEMO HEROのラーニングセンターで、子どもたちに対する授業を実施しました。今回は子どもたちに「夢の授業」を行い、それぞれの子どもたちが自分の夢を絵に描き、発表しました。夢を具体的に思い描き、形にすることで、少しでも実現に近づいてほしいという参加者の願いがこもった授業でした。
最後の夕食となるこの日、近くのレストランでささやかなお疲れ様会を行いました。帰宅後は6日目、最終日の発表に向けて、それぞれ準備を行いました。
6日目(最終日):感想の共有
最終日となる6日目、午前中にはラーニングセンターの署名式に参加しました。NGOとして継続して子どもたちや地域とかかわっていくために、お互いの役割と責任を確認し、書面による契約を交わすことの大切さを学びました。
午後には、いよいよ最後のアクティビティーである、奨学生への感想の共有です。6日間の経験を通じて学んだこと、感じたこと、考えたことを英語でDAREDEMO HEROの奨学生に発表しました。奨学生からは、フィリピンの貧困問題について真剣に学び、解決に向けて行動を起こしてくれた参加者に、感謝の気持ちが述べられました。
毎日の振り返り
DAREDEMO HEROのスタディーツアーでは、毎日の振り返りをとても大切にしています。ツアー中は、様々な体験を通して、感情が激しく揺れ動きます。一人では処理しきれないことも、参加者同士で共有することで、乗り越えることができます。さらに、その日抱いた疑問はその日のうちに解決することで、翌日から新たな学を得ることができます。
また、ツアー期間中の移動は全て団体車両で行うため、活動地への移動時間も、貴重な意見交換の時間となります。
宿泊施設(HERO’S HOUSE1)について
DAREDEMO HEROの宿泊型スタディーツアーでは、団体施設内の宿泊施設に滞在し、活動することができます。そのため、移動が少なく安全に活動することができます。
さらに、食事代はツアー費用に含まれており、基本的には参加者みんなで自炊をし、みんなで食事をとります。目の前にあるローカルマーケットでの買い物は、現地の生活を理解するうえで貴重な経験となります。また、3食を共にすることで参加者同士の絆が深まり、スタッフとの距離も縮まります。
スタディーツアー参加体験談
この5日間は1日1日が充実しており、貧困地域に関する知識をより深めることができました。普段はできない現地での生活や貧困地域への訪問、支援活動は、私に貧困とは何か、私たちにできることは何か問うことを考える大きな機会になりました。
自分事に捉えることは、貧困問題の解決だけでなく、どの場面での対人関係でも必要なことだと思います。今後の人生で活かしていきたいです。
私にとっての当たり前と、現地の人々にとっての当たり前がいかに違っているのかを実感しました。実際に話をして、聞いてみて、感じてみることと、写真で見たり本で勉強したり、人から話を聞いたりすることでは得られる情報では差があって、その一部の情報を得て、全てを理解したつもりになってはいけないと感じました。
目が合うと挨拶してくれたり、話しかけてくれたり、そういったことは日本にはないフィリピンのいい所だと感じました。こちらに来てから笑顔が増えたと思います。
「貧しい」とか「ゴミ山、山の奥で落らしている」という知識を持っていても、いざその場に足を踏み入れると想像していたものより全く新しい世界を訪れた気持ちになりました。
知る≠わかる・理解する、ということに気づかされました。フィリピンの人たちはみんな明るく、I’m poorと笑って答えるフィリピンママの姿が印象的でした。明るく振るまう彼らの良さは、私たち日本人に今必要なことであると、彼らから学びを得ることができました。
盛りだくさんの6日間で、かつ濃い6日間でした。自ら農村地域の現場に行き、体感することで生活の危険性や大変さを身をもって感じることができました。
DAREDEMO HEROさんの自ら考えて授業を行うアクティビティで、1から教える大切さを学ばせていただきました。自分たちが知っているであろうとする知識を、現地の人は知らないということにとても衝撃をうけました。6日間の活動は新しい発見と共に日本人が忘れているものに気づかせてもらえるプログラムでした。ありがとうございました
今まで目をそらしてきたものを、きちんと正面から見れた6日間でした。フィリピンでの経験は日本でも必ず活きるので、今週学んだことや感じたことを日本でしっかり還元したいです。
そして、フィリピンの現実を胸に留めながら、自分の私生活を見直したいです。
6日間を通して、フィリピンの貧困は先進国がお金を渡すだけでは解決出来ないものであると感じました。
ゴミ山、墓地、山岳地帯のコミュニティを訪れたが、どのコミュニティの人達も教育を受ける機会がない限り、あの場所での仕事に就くという未来の選択肢が極めて狭いことを痛感しました。私はこの場所に来るまでゴミ山などで暮らしている人達にもっと良い場所に住んで欲しいと感じていました。しかし、実際訪問してみると彼らにとってゴミ山というものは宝の山であり、一概にある場所から抜け出すことが幸せなのではないことを学びました。
今回、DAREDEMO HEROさんのもとで様々な貧困地域を訪れ、現状を自分の目や体で感じることができて、経験することができてよかったです。貧困問題の解決の難しさをはじめ、彼らにとっての幸せは何か、実際に貧困層の人々と接してみて彼らの助けになるために私たちは何ができるのかを考える大きなきっかけになりました。
ここで見たもの、感じたこと、考えたことを無駄にせずこれからに活かしていきたいです。