NPO法人DAREDEMO HEROでは、2026年10月15日から20日までの6日間、フィリピン・セブの貧困層の子どもたちとともに「日本研修旅行2026」を実施いたしました。
資金繰りやパスポート・ビザ取得など多くの難関がありましたが、ご寄付やクラウドファンディング、受け入れ企業の皆様、そして日本旅行東北様をはじめとする多くの方々のご協力のおかげで、4名の奨学生と3名のLearnerとともに6日間の日本研修旅行を無事完遂することができました
貧困地域で子どもたちに将来の夢を尋ねると、「医師」「看護師」「教師」といった限られた職業しか返ってきません。これは、それ以外の世界や選択肢を知らないからです。見たことのない未来は、目指すことができません。
だからこそ私たちは、子どもたちにより広い世界を見せ、自分の可能性を信じて未来を切り拓くきっかけを作るべく、この日本研修旅行を実施しています。
今回の研修旅行では、東京・横浜・名古屋を巡り、日本の同世代との学校交流、企業の訪問や金融リテラシー学習、ものづくり技術や文化の体験、そして日頃から子どもたちを支えてくださっている支援者の皆様との「感謝の集い」など、学びと交流に満ちた様々なプログラムを行いました。
フィリピンの貧困層に生まれた子どもたちにとって、日本を訪れ、本物の世界に触れることは普通では考えられない奇跡のような出来事です。
以下に、子どもたちの学びと成長の記録をご報告します。
【1日目】日本到着と自立への第一歩
マクタン・セブ国際空港を出発した一行は、無事に日本へ到着しました。入国審査を経て、研修旅行の第一歩を踏み出しました。


初日最初のアクティビティは、子どもたちにとって人生初めての靴の買い物です。これまで新品の靴を自分で選び、購入する経験がなかった子どもたちが、店舗で足のサイズを測り、さまざまな商品を比較しながら、お気に入りの一足を選びました。今回の体験には、お笑い芸人のかまいたち・山内様より「いい靴は、いい場所へ連れて行ってくれる」という温かい想いとともにスニーカーが贈られました。

貧困環境ではサイズが合わない靴や傷んだ靴を履くことも珍しくありません。自らの意思で判断して買い物をするという体験は、自立心と判断力を養うとともに、支援に対する深い感謝を刻む機会となりました。


その後は東京スカイツリーを訪問しました。子どもによっては、ここで人生初のエレベーターを体験しました。目の前に広がる東京の都市景観や高度な都市インフラに触れることで、これまでの限定された生活圏を超えた広い世界が存在することを実感しました。
【2日目】異文化交流と現代社会の仕組み
午前は、ドルトン東京学園中等部・高等部を訪問させていただきました。事前のオンライン交流を経て迎えた当日は、同世代の日本の生徒たちと授業に参加し、グループワークを行いました。国籍や環境は異なっても、共通のテーマや将来の夢について議論を交わす中で、相互理解を深めました。また、日本の先進的な教育設備や生徒たちの自主的な学習姿勢に触れ、より高い目標に向かって勉強に励む意欲を固めました。


午後は、株式会社ジャックス(JACCS Finance Corporation)様を訪問しました。金融リテラシーに関する講義を受け、クレジットカードの仕組みや責任ある金銭管理について学びました。その後、実際に自販機でカード決済を行う実践体験を通じ、現代社会におけるお金の動きと計画的な消費行動を学習しました。


【3日目】イノベーション学習と感謝の集い
午前中は、横浜南ロータリークラブの皆様のご案内のもと、横浜エリアを視察しました。カップヌードルミュージアムでは、インスタントラーメンの発明史を通じて、失敗を恐れず改善を重ねる「イノベーション精神」を学び、自ら味やデザインを選ぶ体験を行いました。続いてコスモワールドを訪れ、観覧車などのアトラクションを通して、日本の技術力やエンターテインメントの工夫に触れました。


その後、横浜中華街を訪れ、街並みを散策し、支援者の皆様との交流を深めました。続いて、横浜南ロータリークラブの例会に出席。その後、研修のメインイベントの一つである「感謝の集い」を開催しました。

会場には50名以上の支援者の皆様がお集まりくださり、子どもたちは一人ずつ、自身の生い立ちや将来の夢、日本での学びについてスピーチを通じて伝えました。また、フィリピンの伝統ダンスも披露し、日頃の感謝の気持ちを表現しました。


さらに、当日は英語教育者の安河内哲也様、QQEnglish代表の藤岡頼光様、そして様々な分野で活躍する須藤元気様にもゲストとしてお越しいただき、トークセッションを開催しました。セッションでは、夢を諦めずに挑戦し続けることや、自分が受け取ったものを誰かに与えていく「GIVEの精神」について、それぞれの経験を交えながらお話しいただきました。子どもたちにとって、自分の未来や生き方について考える貴重な機会となりました。
日頃から自分たちを支えてくださる方々と直接対面し、自分の言葉で感謝を伝えることは、子どもたちにとって大きな経験となりました。そして、自分たちの未来を信じ、応援してくれる人がいることを改めて実感する1日となりました。

【4日目】ものづくり精神と異文化交流
4日目は、早朝の新幹線に乗って名古屋へ向かいました。今まで車以上のスピードを経験したことがなかった子どもたちは、窓の外の景色が一瞬で過ぎ去っていくスピード感と窓から見える富士山に大興奮でした。


名古屋ではまずトヨタ産業技術記念館を訪問しました。ここでは、もともと織機(布を織る機械)の製造からスタートした技術が、どのような工夫と挑戦を経て自動車産業へと発展していったのか、日本のものづくりの歴史や考え方を学びました。


NPO法人ささしまサポートセンターや地域の子どもたちも一緒に見学してくださり、文化交流や新しい友だちづくりができました。 お昼は、名古屋の支援者の皆さんとのランチ交流会。東京だけでなく名古屋でもたくさんの方が温かく迎えてくださり、子どもたちもとても嬉しそうでした。



午後は、南山大学の学生ボランティアの皆さんと一緒に名古屋城へ行きました。歴史ある大きな城を見上げながら、お祭りの雰囲気や伝統文化に触れ、賑やかに散策を楽しみました。


【最終日】ディズニーランド
最終日のこの日は、子どもたちがずっと楽しみにしていた東京ディズニーシーへ行きました。連日の移動や研修で疲れているかと思いきや、朝5時には起きて準備万端な子どもたちの体力とワクワク感には驚かされました。
パーク内では人気のアトラクションに乗り、世界最高峰のサービスやキャストの方々の笑顔・心配りに触れながら、魔法のような世界を思い切り満喫しました。「諦めずに努力を続ければ夢は叶う」ということを心から実感する、夢のような1日になりました。


【報告会】セブに戻ってからの変化と、次への広がり
日本研修旅行からセブに戻り、子どもたちによる報告会を行いました。今回日本に行けなかった仲間たちに、写真を見せながら自分たちが見たこと、驚いたこと、学んだことを伝えました。




日本の街の美しさ、人々の親切さ、初めて知った文化や考え方。報告を聞く子どもたちも興味津々で、「自分もいつか行ってみたい!」と目を輝かせながら思いを膨らませているようでした。
そして、もう一つとても嬉しかったことがあります。 日本で支援者の皆さんからいただいたお小遣いで、7人はそれぞれ、今回行けなかった仲間たちへのお土産を自分で選んで買ってきました。自分のためだけではなく、セブで待つ仲間のことを考えて選び、笑顔で手渡す姿。そんな小さな行動にも、子どもたちの確かな精神的成長を感じました。


セブに戻れば、またいつもの学校、いつもの暮らしが始まります。中には、ゴミ山やお墓など、電気や水道が十分に整っていない地域で暮らす子もいます。
でも、同じ場所で、同じ毎日を過ごしていても、子どもたちの中に見えている世界はもう以前とは違います。
最後に
帰国後のアンケートには「もっと大きな夢を持ちたい」「いつか自分も誰かを助けられる人になりたい」と話ていました。セブに戻ればまた厳しい日常が待っていますが、日本で見た景色や「応援しているよ」とかけられた言葉は、これから困難を乗り越えていく大きな力になります。一人の経験が、次の誰かの夢へとつながり始めています。
私たちが今回の研修旅行で本当に実現したかったのは、単に7人の子どもたちに良い体験をさせることだけではありません。「7人の経験を通じて、日本に行けなかった子どもたちの世界も広げ、一人の経験を次の誰かの夢にすること」でした。
「次は自分の力でまたこんな経験ができるようになりたい」「もっと勉強したい」「もっと広い世界を見てみたい」という思いが、これから困難に直面したとき、前に進む力になってくれたらと思っています。私たちはチャンスをつくることができますが、そこで何を学び人生にどう生かすかは子どもたち自身です。だからこそこれからは、チャンスを届けるだけでなく、それを自分で掴み取る力を育てることにも一層力を入れていきます。
皆さんがつくってくださった一つのチャンスが、こうして着実に次の誰かのチャンスや夢へと繋がり、広がり始めています。この小さな変化を、これからも大切に育てていきたいです。
クラウドファンディングでご支援くださった皆様、交流会にお越しくださった皆様、温かく迎えてくださった企業・学校の皆様、そして身元保証を引き受けてくださった株式会社日本旅行東北様。
今回の日本研修旅行が無事に大成功となったのは、日頃よりDAREDEMO HEROを支援してくださっている皆様のおかげです。子どもたちの未来の扉を開いてくださり、本当にありがとうございました。
今後とも、DAREDEMO HEROへの温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。



