ゴミを拾って生計を立てているスカベンジャーの人々。今回はスカベンジャーの中でも、ゴミの仕分けを行っている現場の様子を紹介します。
スカベンジャー
過去のブログでお伝えしたように、ゴミを拾って生計を立てるスカベンジャーの人たちもその仕事の内容は多岐にわたっています。
プラスチックなどを拾ってジャンクショップに売る人やカバンや靴などを拾い、洗って修繕した上で中古品として売る人など様々です。
仕分けの実態
今回はファストフード店のゴミの仕分けを行っている方に協力を頂き、その現場を見せていただきました。
労働環境
仕分けをしている場所は正直、劣悪です。
地面には袋からこぼれたゴミが大量に落ちており、仕分けを行う場所の目の前には回収してきたファストフード店のゴミが積み上げられています。
ゴミには食品廃棄物も含まれているため、積み上げられたゴミにはハエやウジ虫などが集っている状況です。
仕分けを行う所も、ただ屋根の代わりにビニールシートを張っているだけです。ビニールシートにはすでに穴が開いていますが、雨の日も仕分けは行われます。
仕分けを行う人は、小さな木の椅子に座って作業をします。
仕分けの仕方
ファストフード店のゴミはプラスチック容器や食品廃棄物などがすべて一緒になっています。仕分けの種類としては、大きく分けてプラスチック、紙、食品廃棄物で分けていきます。
プラスチックはペットボトルやフォーク、スプーンなど、さらに細かく分けています。
食品廃棄物に関しては、主に豚のエサ用に仕分けていますが、まだ人間が食べられそうなものは別に取っておきます。
仕分けしたものは、食品廃棄物であれば養豚を行っている人に、プラスチックはジャンクショップに売ります。
いくら稼げるのか
仕分けを行っているのは、雇われている人たちです。彼らは7:00~17:00まで休まず、毎日働いています。しかし、それだけ働いても日給はたったの150ペソ(約300円)です。
今回仕分けの様子を見せてくださった方は、シングルマザーで2人の子どもを育てています。150ペソという収入で子どもたちを養っていかなければならないのです。
アライス
当団体のブログでは以前、残飯を調理し直した食べ物である「パグパグ」を紹介しました。
イナヤワン地区でも、同様の食べ物があります。彼らはそれをパグパグではなく、「アライス」と呼んでいます。
上記の仕分けでまだ食べられると判断されたものは、パグパグと同じように再調理されます。再調理されたものは、コミュニティ内のお店で一袋10ペソ(約20円)~20ペソ(約40円)で売られます。
パグパグと同じように、アライスも仕分け前は髪の毛などが一緒になっていたり、数日前の食品廃棄物を使っていたりと、健康を害する恐れがあります。
しかし、コミュニティの人たちはお金がない時には、それを食べざるを得ないという現実があります。
▶パグパグの詳細については、こちらをご覧ください。
「残飯を調理し直した食べ物「パグパグ」」
厳しい現実
現在は、仕分けの仕事をしている彼女ですが、ゴミ山が閉鎖する前にはゴミ山でゴミを拾って生計を立てていました。その時代は、1日500~700ペソ(約1000~1400円)ほど稼げていたそうです。
ゴミ山が閉鎖すると、新しいゴミが運び込まれなくなります。それは彼女のようなスカベンジャーにとって、売れるものが拾えない=収入を失うことを意味するのです。収入源を失った彼女は、知人の紹介で現在の仕事に就いています。
ゴミ山で働いていた時も、もちろん労働環境はよくありませんが、それでもフィリピンの最低賃金以上の稼ぎを得ていました。現在は、同様の労働環境の中で働いても、以前の3分1以下の収入しか得られていません。
ゴミ山は環境だけでなく、スカベンジャーの人々の生活に深く関わっています。本来であれば、ゴミ山の問題はただゴミ山自体をなんとかするだけではなく、彼らの生活についても考えなければいけません。
ただ、政府は彼らの生活の保障は行っていなく、彼ら自身が何とかしなければならないというのが現状です。