DAREDEMO HEROでは、これまでにもたくさんの緊急医療支援を行ってきました。そして、今救いたいもう一つの命に出会いました。

DAREDEMO HEROの医療支援

DAREDEMO HEROでは、48人の奨学生に対する学習支援以外も、様々なアウトリーチ活動を行っています。セブには、私たちの想像を超える劣悪な環境で生活する最貧困層の人々がたくさんいます。そういった最貧困地区で、炊き出しや物資の配布活動を行っていく中で、緊急性を要する治療が必要な子どもたちに出会うことがあります。

私たちのような小さな団体が、医療を必要としている子どもたち全員を支援することはできません。しかし、せめて目の前で苦しんでいる子どもがいるのであれば、自分たちにできる支援をしたいと思い、緊急医療支援を続けています。

▶これまでの活動の詳細はこちらをご覧ください。
「ジェームズ君プロジェクト」
「ジェームス君の遺志を継いで・・・」

新たな命との出会い

私たちは定期的に、セブ市内の墓地に住む人々との交流を行っています。この墓地には屋根の付いた墓地も多く、他人の墓地に住み着いて生活をしている人々がいます。水道も電気もなく、何よりも遺体の収容されている墓地に住むということを、誰も望んではいません。しかし、他に住む場所のない貧困層は、ここから出ていくこともがきないのです。


棺桶がベット替わりです

先日、あるお母さんが私たちに声をかけてきました。
「私の赤ちゃんは、肛門がないからこのままだと死んでしまう」

初め何を言っているの理解できませんでしたが、赤ちゃんの様子を見ると、その緊急性がよく理解できました。
※赤ちゃんの写真はこちらをご覧ください(臀部傷口の写真です)

肛門がふさがった鎖肛の状態で産まれた赤ちゃん(エルウィン)ですが、何とか生きて欲しいと両親が奮闘し、腹部に穴をあけ、排便の通り道を形成する手術を受けることができました。しかし、その後根治治療となる肛門の形成術を行う費用がなく、そのまま放置せている状態でした。

エルウィンの家族

エルウィンの両親は、ともにこの墓地で産まれ育ちました。母親は小学校を卒業しておらず、父親も中学校を中退しています。一家の収入は、父親の「墓石彫」の仕事のみです。一つの墓石を掘って、500ペソ(約1,000円)程度で、月にオーダーは3件か4件のみです。月によっては、オーダーがない事もあり、その場合は収入もありません。
エルウィンには、4人の兄弟がおり、6人家族の収入がたったの4,000円程度なのです。日々家族が生きることだけでギリギリの生活で、エルウィンの医療費など捻出できるはずがありません。


真ん中の小さなスペースがエルウィンの家です

死と隣り合わせの環境

エルウィン一家は、他人の墓地に住んでいます。そして、周囲も墓地で埋め尽くされています。すぐ近くには、生まれた日と亡くなった日が同じ日の魂の眠るスペースもあります。そんな環境の中で母親は、いつエルウィンが感染症や腸閉塞を起こして、危険な状態にならないか、毎日不安を抱えて生活しています。
患部を清潔に保つための水もなければ、十分な栄養を与えるだけのお金もありません。

私たちにできること

当団体で医療支援を行う際に、一番問題になるのは、やはり医療費です。日本とは違い、保険制度が確立していないこの国で、特別な治療や手術をする場合、高額な医療費がかかります。

支援を開始することは簡単です。しかし、家族に希望を持たせるからには、最後まで責任をもって支援を行う必要があります。しかし、何も動かない段階で、治療に必要な支援を集めることもできません。

そのジレンマに悩んでいたところ、DAREDEMO HEROのご支援者である竹井佑介様率いるSIAの皆さんから、「まずは、検査をしていくら治療費がかかるのかを教えて欲しい!」とご連絡を頂きました。
この言葉に背中を押され、検査をスタートすることができました。

広がるご支援の輪

フィリピンの病院には公立と私立があり、治療費・設備・サービス・医師の技術などすべてが全く違います。


今回受診した私立病院と、市内の公立病院の様子

私立の病院は、医療費が非常に高額で、貧困層は公立の病院に行くしかありません。しかし、公立の病院には連日長蛇の列ができ、検査器具も不足しており、さらには優秀なドクターが非常に少ないです。
エルウィンも今後の医療費のことを考え、公立の病院に行くことも考えましたが、これまでの医療支援の経験から、私立の病院でしか彼の命は助けられないと判断しました。しかし、どこの病院にエルウィンを助けてくれるドクターがいるのか、探し出すことは容易な作業ではありません。

そんな中、セブ日本人会副会長櫻井絹恵様からアドバイスを頂き、エルウィンの状況に一番合ったドクターをご紹介いただけました。さらに、セブロータリークラブStephen Castillo様からのバックアップもいただき、スムーズに診察を受けることができました。

本日、改めて私立の病院と公立の病院の差を痛感しました。整った設備と、しっかりとトレーニングされたスタッフ、システム化された作業。どれをとっても公立の病院には見られないものです。

本日は、病院の医療費助成を受けるための面接を受け、終了となりました。仮にこの助成を受けても、全額助成とはならないため、このような制度があっても、貧困層は私立の病院に行くことはできません。

助成金の審査と、手術に必要な治療費の計算に3日~5日かかります。その間にも、私たちにできることを考え、どうにかエルウィンが必要な治療を受けさせてあげたいと思います。

今後の経過は、ブログでご報告させていただきます。