新型コロナウイルス感染症の影響で、HERO’S HOUSE2周辺の地区がトータルロックダウン(完全隔離)となっています。今回は、Zapatera地区の様子をお伝えします。

トータルロックダウンとは?

現在日本では「緊急事態宣言」が発令されていますが、これは「ロックダウン」とは意味が異なります。さらに「トータルロックダウン」はまた更に厳しい規制があります。
それぞれの違いについて解説します。

緊急事態宣言

都道府県知事が外出やイベント開催に関する自粛の要請や指示を出すことができる。ただ基本的に強制力は伴わない。

ロックダウン

日本語に訳すと「都市閉鎖」を意味します。簡単に言うと、その地区の住民以外はその地区に入れない。また逆に出ることができないということです。

トータルロックダウン

基本的には外出は全面禁止です。都市閉鎖の範囲が狭まり、市単位ではなく、日本でいう町内会単位、もしくは通りレベルで閉鎖されます。


Zapatera地区への入り口。人の出入りはできません。

現在、子どもたちの住むLuz地区は、最も厳しい「トータルロックダウン」の状況です。中でもZapateraエリアは、非常に厳しい監視下にあります。

Zapateraエリアとは?

このZapateraエリアは、Luz地区の中の一角で、HERO’S HOUSE2と子どもたちの通う学校の間のエリアです。


赤線で囲まれているエリアがZapateraです。

そもそもLuz地区とは、周囲に高級ショッピングモールや、ビジネスパーク、カジノを備えた大型ホテルなどが立ち並ぶ一角に、取り残された住宅密集貧困地区です。以前より大規模な火災が頻繁に発生しており、治安も決していいとはいえない場所です。
DAREDEMO HEROではこの地区に住む子どもたち17名を支援しています。

Luzの中でも地域が分かれており、現地ではそれらを「シティオ」と呼んでいます。ZapateraもLuzの中にあるシティオのひとつです。
直線距離でわずか数100メートルの敷地に、800世帯4,900人はひしめき合って暮らしています。この地区は慢性的な水不足が続いており、給水車で生活用水を配給していました。

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Zapateraの感染状況

セブ州でロックダウンが始まったのが3月28日です。その後、大幅な患者数の増加がないまま数日が経過しました。このまま事態が収束することを、みな期待していました。しかし、恐れていた事態が発生してしまいました。

4月9日、Zapatera地区で、第一号となる陽性患者が報告されました。
それまでの報告されていた感染者は、海外渡航者やマニラに行き来する、富裕層が中心でした。セブ島から出ていない貧困層が感染したことで、事態は大きく変わりました。

さらに、貧困住宅密集地では、人々がまさに密集して暮らしています。衛生を保つための十分な消毒液や石鹸、まして水すらない地区です。感染はあっという間に広まり、わずか一週間で100名を超える陽性患者が報告されました。

これを受け、4月12日からZapateraはトータルロックダウンとなり、住人の出入りが完全に禁止されました。

4月16日には、住民に対する検査を中止するという保健省が発表しました。前日に住民に対して行われた検査で新たに陽性と診断された53人のうち、51人には症状が出ておらず、症状が出ている2名のみ病院に移されました。

Zapateraでの問題

経済的ダメージ

この問題は、Zapateraに限らずセブ全体で発生しています。その中でもこの地区に住む人々は一切この地区から出ることができないため、収入が全くない家庭がほとんどです。

食糧難

この小さな地区には、スーパーなどの大型店はありません。サリサリと呼ばれる小さな商店があるだけです。しかし、このサリサリも、仕入れのために外に出ることができないため、慢性的な品薄状態です。特に生鮮食品はほぼ手に入らない状態です。


日用品を売るサリサリストアー

水不足

人間が生きるためには、必ず水が必要です。その水が絶対的に不足しています。この地区は、もともと水道水も十分に出ない地区です。さらに、飲料水に関しても、この地区でロックダウン後も唯一営業していたお店が閉店してしまいました。
これによって、飲料水は外部からの支援に頼るしかなくなってしまいました。

赤ちゃん用のミルクやおむつが不足

この地区には、たくさんの乳児、幼児が取り残されています。現在支給されている食べ物のほとんどは、お米や缶詰など大人用の食べ物だけです。乳児用のミルクがないため、代わりにコーヒーを飲ませているという、住民からの訴えもありました。
既にこの地区では、9か月の赤ちゃんの発症例も報告されています。

薬品不足

この地区には、常備薬を必要としている人々もいます。しかし、通院ができないため、生きるために必要な薬も手に入っていません。

調理用の燃料不足

市やバランガイからお米の配給が進んでいます。しかし、それらを調理するための燃料がありません。セブには都市ガスはないため、LPガスかカセットコンロタイプのガス、もしくは薪で調理行いますが、そのいずれも不足しています。

貧困層を取り巻く医療問題

日本も現在、医療崩壊が現実的なものとなり、無症状の患者はホテル等での自主隔離体制がとられています。ここフィリピンでは、日本のように保険制度が整っていないため、Zapateraに住む貧困層は保険に加入していません。
一例では、フィリピンで現在コロナ治療で私立病院に入院した場合、医療費が約800万円を超えるという報告もあります。そのため、貧困層は症状が出ても気軽に病院に行くことができません。

そのため無症状の患者を、隣接するLuz小学校に移送すると発表されました。予定していた18日から遅れて、本日21日18時に51名の無症状患者が移送されます。ここはあくまでも隔離施設であり、専門的な医療行為が受けられるわけではありません。

届かない支援物資

このような状況の中で、市やバランガイが何もしていないわけではありません。外出が禁止されている住民に対して、必要な食料品や日用品を届けようと動いています。

しかし、ウイルスという見えない敵を目の前に、配布が思うように進んでいません。800世帯に物資を配布するには、相当なマンパワーが必要ですが、この地区での活動はまさに命がけです。圧倒的なマンパワー不足と、次々に起こるトラブルに、行政スタッフも憔悴しきっています。


仕分け作業を行う地元ボランティア


Zapatera地区の出入り口で監視を続ける警察

私たちにできること

現在、DAREDEMO HEROでは、この地区の中に住む奨学生や、仕分け作業を行うボランティアから生の声を聞き、実際に現場で不足しているものをいち早く現場に届けられるよう、活動しています。

これまでに、以下のものを寄付してきました。

缶詰1,000缶
食パン1,000斤
石鹸1,400個
消毒用アルコール1,400個
乳児用ミルク1,600袋
幼児用ミルク3,500袋
オムツ1,000個
ミネラルウォーター7.7L 1,600本
柑橘果実、玉ねぎ、にんにく各大5袋
仕分け用の袋 1,000枚

現在、セブ全体がロックダウンとなっており、これらの商品には販売個数制限がかけられています。しかし、Zapatera地区への寄付ということを説明し、それぞれの製造元や販売業者が特別に大量に販売してくれています。

さらに、本来は運転できる車両にも大幅な制限がかけられていますが、これまでの業績が認められ、車両も自由に使うことが許可されています。

何よりも、これらの活動ができているのはすべて、ご寄付をくださったご支援者様のおかげ様です。

これまでに、募金サイトから181名のご支援者様から合計1,790,000円のご支援を頂いております。これまでの支援活動で、現在約1,200,000円分の支援を現地の人々に届けることができました。

現在、現地の人々から「支援物資でお米や野菜が配られても、調理用の火がなく、調理ができない」という声を受け、調理用のカセットガスの寄付のために準備を進めています。

今後の心配

まだまだ先が見えない状況ではありますが、いずれこの問題も収束するはずです。しかし、LuzとZapateraの名前は今回のことで全フィリピンに知れ渡っています。
事態が収束した後も、様々な場面で差別を受ける可能性があります。DAREDEMO KIDSの進学や、保護者の就職にも影響が出ないか、とても心配です。

それらを防ぐためにも、現地の正しい情報を、多くの人々に伝えていきたいと思います。


4月4日にLapatera地区で最後の炊き出しを行った際の写真

ご支援方法

事態が完全に収束し、Zapateraの人々が以前の生活に戻るには、まだまだ時間がかかります。1日も早く事態が収束し、子どもたちが学校で学び、外を走り回れる日が来ることを願ってやみません。

こちらのサイトでは1,000円からクレジットカードでご支援頂けます。世界中が大変なこの時期に、大変恐縮ではありますが、皆様のお力が必要です。ご支援よろしくお願いいたします。

ご支援は「こちら」からよろしくお願いします。

皆様から頂いた貴重なご支援を、一番いい形で、いち早く現地の人々に届けられるよう活動を続けていきます。