現在、セブの各バランガイで大規模な抗体検査が実施されています。一体だれを対象にどんな検査を行っているのでしょうか?そしてその目的は?

MASS TEST(大規模な抗体検査)とは?

日本では聞きなれない「MASS TEST」ですが、現在セブでは多くの人々がこの「MASS TEST」に注目しています。

現在私たちが支援をしているZapatera地区でも、大規模な感染が発覚したきっかけは、この「MASS TEST」でした。
当初は感染者が確認された地区で、ほかに感染者がいないかを検査するために行われていましたが、今回のテストは、セブ市、マンダウエ市、ラプラプ市の各バランガイで大規模に行われる予定です。この結果次第で、今後各バランガイが、強化されたコミュニティ検疫(ECQ)から変更されたコミュニティ検疫(MDQ)に変更できるかどうかに影響します。

▶ECQとMDQについて詳細はこちらをご覧ください。

その規模は、セブ市だけでも全80バランガイで、少なくとも23,553世帯に対して行うと発表されています。しかし、いったい誰がどのような検査を受けて、どうなるのか?自分は受けれるのか?受けなければいけないのか?など、住民の中で混乱が生じていました。

ついに実施されたテストの実態

当初政府は「5月3日から大規模な抗体検査がスタートし、その結果次第で今後の政策を決定する」と発表していました。
しかし、検査キットの不足や、準備不足が重なり、スケジュールは何度か延期されて、ついに本日から検査が始まりました。


当初の報道

しかし、実際にテストが始まった今現在でも、いったいいつどこでだれが検査を受けられるのかの情報などは不確かなままです。さらに検査の内容も、どんなものなのかよくわからないままです。

さらに、MASS TESTには悪評もあり、
・前回のZapatera地区で行われた検査の際、検査員が手袋を毎回変えていなかった。
・検査は激しい痛みを伴う。

などなど、SNSを中心にささやかれており、さらに「自分は大丈夫」という思い込みもあり、希望性をとる今回のMASS TESTにはあまり人が集まっていません。

実際の検査内容

DAREDEO HEROでこれまで様々な支援を行ってきたバランガイ・イナヤワンで、本日5月6日にMASS TESTが実施されるということで、実際に様子を見に行ってきました。検査の一連の流れをご紹介します。

1、事前に各地区にお知らせを配布

イナヤワンも他の地区同様、これまで2回検査の延期が発表されています。そのたびに、バランガイが各地区に検査の日時のお知らせを配布し、SNSなどで告知を行ったそうです。イナヤワン地区では、検査はあくまでも希望性をとっており、検査を受けたい人だけが本日検査場に集まりました。

2、承諾書にサイン

会場に集まった人々は、あくまでも希望者です。検査上で何か問題が生じても、それは自分の責任であるという内容の承諾書にサインをして初めて、検査を受けることができます。

3、簡単な問診の後に血液検査

承諾書にサインをした後に、熱や咳があるかなどの簡単な問診を行い、採血を行います。ここで驚きなのは、日本のように保険証などは持っていないため、特にIDの提示が求められないことです。名前と大まかな住所(フィリピンの貧困地区には正確な住所はありません)と携帯電話番号を伝えるだけです。

発熱や、咳がある人のみPCR検査ができるように準備はされていましたが、イナヤワンでのMASS TESTではPCR検査は実施されませんでした。

4、終了

今回のMASS TESTはこれで終了です。血液検査の結果は後日電話で知らされるようですが、陽性の場合のみ知らされるのか、全員に連絡がいくのはか不明です。さらにこの結果には2~3日かかるとさえれています。
しかし、各バランガイで数百単位の検体が採取され、現在認定されているたった一つの病院で測定するとなると、もう少し時間がかかるのではないかと予想されます。

バランガイ・イナヤワンの現状

イナヤワンは、セブ市のすべてのゴミが集まるゴミ山を有したバランガイです。DAREDEMO HEROでは、このゴミ山周辺に住む人々に対する支援を継続的に行っています。

▶イナヤワンでの支援活動の詳細はこちらをご覧ください。

現在、この地区では大きな問題を抱えています。イナヤワンにはこれまで同様、セブ市各地から毎日ゴミが運ばれてきます。現在セブ市内では、LUZで200人近い集団感染、イナヤワンの近くに位置するマンバリンでは400人を超える大規模感染が起きています。
その地区からも、ゴミが運ばれてくるということは、ゴミと一緒にウイルスも運ばれてくるということです。

先日LUZ地区でのごみの回収をしているところに出くわしました。

このように、住民がオープントラックに、燃えるゴミも燃えないゴミも関係なく放り投げている状態でした。そして、これらのゴミがイナヤワンに運ばれ、このゴミから食べられるものや売れるものを探して、生きる糧としている人々の元に運ばれます。

この状況を危惧したバランガイキャプテンが、セブ市に訴えを起こしましたが、ほかにこれだけの大量のごみを受け入れる先がないことから、問題は解決されないまま今に至っています。

幸いなことに、イナヤワンでは現在感染者は5名のみに留まっています。これは、感染者が発見されてすぐにコミュニティー隔離を行い、さらに少ない人数でも隔離施設を設置し、患者をしっかりと隔離してきたからです。

しかし、他のバランガイ同様、経済状況は非常にひっ迫しています。フロントラインで活動しているヘルスワーカーには自分たちの安全を守るすべがありませんでした。今回のMASS TESTを前に、フロントライナーとして活動するバランガイヘルスワーカーに防護服とマスク、手袋を寄付しました。

 

これで、彼女たちは住民を守る活動の際にも、感染の危険性から身を守ることができます。

MASS TEST(大規模な抗体検査)の結果と今後

今回の検査結果で、今後の政府の政策が決定します。

しかし、現時点で政府が予定していた検体の数は集まっていません。さらに、この計画を進めている間にも、マンバリンという貧困住宅密集地区で400名を超える集団感染が発表されています。
Zapatera地区でも、1か月ほど前に行われた陽性の検査結果が先日感染者に通達され、その感染者が自分が感染していることを知らずに、1か月間たくさんの人々と接触をして生活をしていたという事例も起こっています。

このような状況で、現在予定されている5月15日のロックダウン(強化されたコミュニティ検疫)解除は難しいのではないかという声も上がっています。

感染の拡大を防ぐためには、ロックダウン措置は必要ですが、これ以上この状況が続けば、貧困層が飢えに苦しみ最悪の事態も起きかねません。各バランガイに市から配布された予算は、既に数回のお米の支給で底をついています。
イナヤワンでも、11,000世帯に対してお米の配布を2度行い、次の配布に必要な予算はもうありません。


前回イナヤワンでお米を配布した際の様子

今、貧困層は「感染の恐怖」「飢えの恐怖」と戦いながら生きています。そして、行政も先の見えない状況の中、まさに手探り状態で先に進む方法を模索しています。

DAREDEMO HEROでも、自分たちにしかできない支援方法を模索し、みんなで力を合わせてこの状況を乗り越えたいと思います。