DAREDEMO HEROでは、 味の素ファンデーション様の助成を受け、フィリピン人の食に関する実態調査及び、栄養改善を行っています。
食の実態調査スタート!
▶当事業の詳細は「貧困層の実態調査に基づくコミュニティー主体の栄養改善事業」をご覧ください。
貧困層の実態に合った栄養改善策を提案するためには、まず現状をしっかりと把握する必要があります。そのために、まず食の実態調査からスタートします。極力、貧困層に負担のない形で、正確かつ詳細なデータを収集するために、これまで日比の管理栄養士と話し合いを重ね、DAREDEMO HEROオリジナルの調査方法を作り上げました。
聞取り調査は、日本語→英語→ビサヤ語の2段階通訳を行い、細かなニュアンスでずれがないかのチェックを行い、資格を持ったソーシャルワーカーが実施しています。
調査の回答は、セブ医大で栄養学を学ぶ学生が、データ化してくれます。
3日間の食事モニタリング
DAREDEMO HEROオリジナルの調査方法のメインとなるのが、ホワイトボードと計量器を使った食の写真データです。貧困層に、何をどれだけ食べたのかを、自分たちの力だけで記録することは非常に難しいことです。そこで、食べたものの写真を撮り、その写真を元に栄養成分を算出する方式をとっています。
栄養成分は広島修道大学で栄養学を学ぶ学生が、算出してくれます。
パイロット調査を終えて
今回、300世帯の本調査を前に、パイロット調査として10世帯の調査を行いましたが、既に貧困層の食に関する深刻な状況が見えてきました。食事の多くが、炭水化物+炭水化物の組み合わせで、炭水化物・脂質・たんぱく質のバランスが極端に偏っています。
炭水化物(糖質)を食べれば、急激に血糖値が上がり、満腹感を感じることはできます。しかし、同時にインスリンが出てしまうため、その後急激な血糖値の低下が起こります。そのためか、フィリピン人の貧困層の多くが、少しお腹がすくと「頭が痛くなる」「集中力がなくなる」「イライラする」などの低血糖の症状が出ます。
これらの症状を、フィリピン人が「怠けている」と捉えてしまう人もいますが、小さい頃からバランスのとれた食事をすることができなかったフィリピン人には、これらの症状をコントロールすることはできません。さらに体力も低く、虚弱体質にもなりがちです。
何よりも、糖尿病になるリスクが非常に高いです。フィリピンでは糖尿病が死因の5位にランクインするほど深刻な問題です。さらに最近では子どもの糖尿病が大きな問題となっています。貧困層の多くは、糖尿病を発症しても、必要な医療を受けることができないため、症状が重篤化してしまうリスクが非常に高いです。
健全な肉体に健全な精神が宿る
子どもたの夢の実現のためにも、しっかりと勉強に集中できる健全な肉体が必要です。そのためには小さなころから、栄養バランスのとれた食事は不可欠です。
保護者が正しい知識を付けることで、子どもたちの未来が変わります。
貧困層でも継続的に実現可能な栄養改善策を見出し、子どもたちの未来を変えていきたいと思います。