1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 夏の宿泊型スタディーツアー 2023

夏の宿泊型スタディーツアー 2023

夏の宿泊型スタディーツアー 2023
公開日:

2023年8月21日から26日の6日間、中学生から社会人まで計8名が参加する宿泊型のスタディーツアーを開催しました。

貧困・教育問題について本気で考える1週間

今回のスタディーツアーは、「フィリピンの貧困・教育問題について本気で考える」をテーマに企画しました。ツアーを通じて学んだこと、感じたこと、考えたことをグループ毎にまとめて、最終日にプレゼンテーションすることを最終目標として設定し、体以上に頭が疲れるツアーにしようという想いで企画がスタートしました。タプタプ山岳地域、イナヤワンごみ処理場、カレタ墓地の3つの支援地域に加え、奨学生が通う公立小学校、さらには奨学生3人のご家庭を訪問する盛りだくさんのツアーとなりました。

1日目:マクタン・セブ国際空港 集合

フィリピンでは飛行機の遅延・欠航が多く、ゲリラ豪雨も頻発し、さらには交通渋滞も発生しやすいため、余裕をもったスケジュール作成が不可欠です。初日の目標は「無事にセブ島に到着すること」でしたが、この日は飛行機が予定より1時間も早く到着し、道も空いていたため、順調なスタートを切ることができました。そのため、予定を前倒しして小テストと団体説明を実施しました。

小テストは大きく2つのパートに分かれています。前半パートは、是非とも知っておいてもらいたいフィリピンの基本情報や文化に関する問題です。後半パートでは、本ツアーの全行程を通じて考えてもらいたい学びのテーマ(例:貧困問題を解決するためには経済的支援の他に何が必要?)に関する現状認識を書いていただきました。全く同じテストをツアーの最後に再度実施し、自分の知識や考えがツアー前後でどの程度変化したかを参加者自身に気付いてもらうおうという試みで実施しました。このように、参加者の思考を促す種をツアーの随所に散りばめました。

1日のアクティビティー終了後の自炊も宿泊型スタディーツアーの醍醐味です。本ツアーでは、参加者とインターン生を3つの調理班に分けて日替わりで夕食・朝食の準備を担当してもらいました。ローカルマーケットでの買い出しもフィリピン人の生活様式を知る良い機会となりました。

2日目:歴史観光、奨学生との交流、山岳農村地区訪問

2日目の朝はセブの観光名所であるサン・ペドロ要塞とサント・ニーニョ教会でフィリピンの歴史と文化を学びました。その後、4人の奨学生に生い立ちや夢について語ってもらい、お昼はフィリピンの大人気ファストフード Jollibee を食べながら奨学生と談笑しました。初めはお互い緊張していましたが、話し始めるとすぐに打ち解け、笑いの絶えない楽しい時間となりました。

午後は支援地域の1つであるタプタプの山岳農家を訪問しました。スキー場のような急斜面に続く道なき道を15分ほど下った先に彼らの畑があります。1度訪問するだけでも一苦労でしたが、農家の人々は毎日そこで農作業を行い、50キロ以上の農作物を背負って斜面を上り下りしています。山岳地帯で農業を営む大変さを、身をもって体感しました。

3日目:NPO職員インタビュー、ごみ処理場の訪問

3日目の午前中は、最終日のプレゼンテーションのグループ分けをした後、当団体のフィリピン人職員2名へのインタビューを実施しました。NPO職員の視点、そしてフィリピン人の視点でこの国の貧困・教育問題の現状と解決策について熱く語ってもらいました。

午後はイナヤワンごみ処理場を訪問しました。まずラーニングセンターを見学した後、支援物資の配布を行いました。参加者一人ひとりから物資を手渡しすることで、支援者と向き合うことができました。また、実際にゴミ山の中で仕事をしている方々に聞き取りを行い、彼らの過酷な生活・労働環境の実態を学びました。

4日目:小学校見学、奨学生の家庭訪問

QQ English様からご寄贈いただいたホワイトボードをオフィス最寄りの公立小学校に届けに行きました。夏休み中でしたので学生の姿はありませんでしたが、新学期に向けて準備中の教員に校舎をご案内いただき、教員生活や教育課題についてインタビューさせていただきました。ツアー参加者の中に教員志望の方が数名いたため、仕事のやりがいや具体的な日常業務について聞くことで、自分たちが目指している職業に対するリアルなイメージを持つことができました。

午後は奨学生3名の家庭訪問を行いました。奨学生たちの家・住環境や世帯収入は、日本の当たり前とは大きく異なっています。奨学生の家族との会話を通じて、「この大きさの家に家族で住んでいるのか」「一ヶ月の生活をその収入で賄っているのか」という貧困層のリアルな家庭事情を知ることができました。

5日目:墓地での炊き出し、プレゼン準備

5日目は、早朝から炊き出し用のお粥(Lugaw)を約100食分作りました。生姜が効いた栄養満点のお粥を車に積み込み、カレタ墓地へ出発!棺桶をベッドや机として使いながら暮らす人々の生活に触れ、その厳しい実態を目の当たりにしました。その後、元気いっぱいの子どもたちと、縄跳びやボール遊びで一緒に汗を流し、最後に炊き出しを実施しました。終始笑顔が絶えない子どもたちからたくさんの元気をもらいました。

セブの街や海が一望できるお洒落なレストランでランチを済ませた後、事務所に戻り翌日のプレゼンテーションに向けた最後の準備に取り掛かりました。

6日目:プレゼンテーションと振り返り

いよいよプレゼンテーション本番です!
ツアーを通じて学んだこと、感じたこと、考えたことをグループ毎に発表していただきました。フィリピンの教育・貧困問題の背景にある歴史や宗教観、社会構造についても考察いただき、これらの問題を解決するためには、自分の価値観を押し付けず、互いの文化を尊重しながら二人三脚で進んでいく必要があることを再認識しました。その上で、当事者目線で考えた具体的な事業プランまでご提案いただきました。

密度の濃い日程の中で何度もパラダイムシフトがあり、1週間で見聞きした情報を頭の中で整理するだけでも相当苦労されたことと思います。そもそも、数多くのNPO法人や政府機関が長年に渡って支援を続けいても未だに解決していない問題なのですから、簡単に解決の糸口が見出せないのは当然のことです。だからこそ、本ツアーを世界の貧困・教育問題について自分事として考え始めるきっかけとして位置付け、日本に帰国された後も自分に何ができるかを考え続けてほしいと思います。

そして、このツアーは参加者だけでなく、当団体にとっても学びの多い有意義な時間となりました。参加者の方々からいただいた貴重なご意見とご提案は、今後の活動に活かしていきたいと思います。

ツアーを通じて学んだこと・考えたこと

ツアーの締めくくりに小テストとアンケートを実施しました。
参加者のご解答、ご感想をいくつかご紹介させていただきます。

 K.Y. さん

 

Q. 貧困問題を解決するためには経済的支援の他に何が必要?

ごみ山や墓地のような決して良いとは言えない環境で生活しているため、やはり幸せとはいえ、ある程度のストレスは溜まる。そのため精神的支援(ストレス発散の場を設けるなど)が必要。

 Y.K. さん

Q. フィリピンの教育問題とは?

就学しても学習についていけずにドロップアウトせざるを得ない子どもがいる。学校の数が少なく、授業時間が日本の半分程度しかない。教育格差が大きく、大学へ進学する経済力がない家庭は貧困から抜け出せない。

 K.K. さん

Q. 日本に帰ってからあなたにできることは?

日本の教育とフィリピンの教育の比較をして、何らかの形でまとめて大学の友人に伝えます。DAREDEMO HEROのスタディーツアーの話をして来年の参加者を募れたらいいなと思っています。
今回、フィリピンの教育や経済事情について体感することができたので、自分で学びを深めたいです。

 H.O. さん

感想

ツアーで色んなところに連れて行ってもらったり、班のみんなで議論をしたり、とても学びの多いツアーでした!近くのお店で買い物をしたのも苦戦しながら自炊したのも全部ステキな思い出です。
本当にありがとうございました!

DAREDEMO HE ROの活動をご支援ください!

月1000円でラーニングセンターに通う子ども一人の1か月分の軽食を提供や、30人の子どもたちに炊出しができます。