フィリピンの街には都心から地方まで、派手なデザインの大型自動車がたくさん走っています。もちろんセブも例外ではありません。
道路を渡ろうと見計らっているとき(フィリピンには都心以外では歩行者用の信号がほとんどありません)、誰かを道路沿いで待っているとき…あなたは必ず、どこからともなくクラクションの音とともに「乗るかい?!」と話しかけられるでしょう。
ジプニーとは
Jeepney(ジプニー)とは乗り合いバスのことで、「フィリピン人の足」と言っても過言ではないほど欠かせない乗り物です。
距離で料金が決まる日本と違い、フィリピンのタクシーだと基本料金が40ペソ程からスタートし、乗車時間によってさらに加算されていく仕組みです。そのため、渋滞の多いフィリピンでは毎日乗るにはかなり厳しいです。
しかし、ジプニーは大体10ペソ~20ペソ程(2022年9月現在)で乗車可能なのでお財布にとても優しい!
そのため通勤や通学、観光など様々な用途で使われている重要な交通手段です。
ジプニーの歴史
ジプニーは第二次世界大戦後に誕生しました。
戦時中までのフィリピンの交通手段は路面電車とケーブルカーが主でしたが、戦争によって街は壊滅状態に陥り、頼りにしていた路面電車などは使えなくなってしまいます。
しかし、そんな状況でもフィリピン人はひらめきました。「そうだ、アメリカ軍が置いていったJeep(ジープ)を使えばいいじゃないか!」と。
終戦後、アメリカ軍はフィリピンから引き上げる際に多くのジープをその場に残していきました。
その後は乗り合いバスとして乗客を乗せるために内装を改造し、周りとの差をつけるため各オーナーがデザインにこだわり、現在の派手なジプニーが誕生しました。
ちなみに「ジプニー」という名前は車の名前のJeepと小型乗り合いバスを意味するJitneyを合わせたものです。
本来のジプニーはジープの形に沿ったものでしたが、徐々に数が減り、目にすることは少なくなりました。
代わりに最近はトラックを改造したものが主流になっています。
伝統と環境問題
フィリピンの象徴であるジプニーですが、近年廃止の危機に陥っています。
理由はジプニーに搭載されているエンジンと安全性。特に古いジプニーはエンジンを回すとたちまち黒い煙が立ち上がるため、排気ガスが環境汚染の原因となっていますし、窓もドアも無くよく揺れるジプニーは危険性が高いのです。
そのため、フィリピン政府は古いジプニーを段階的に廃止し、将来的には環境に配慮した電気ジプニーやソーラージプニーを運行させる計画を立てています。
この政府の決定により、廃業の危機に晒されたジプニーの運転手や、フィリピンならではの文化を守りたい利用者は反対の声を上げています。
乗り方
ジプニーは基本どこから乗っても、どこで降りてもOKです。
一見どこに向かっているのかわからない方も多いと思いますが、行先はフロント部分と屋根、車体の側面と後ろに書いてあります。
また、書いてある番号とアルファベットによって行先が違います。
例えば、13CだとTALAMBAN(タランバン)からCOLON(コロン)行きとなります。そのためどのバスに乗れば目的地に行けるのか不安な人は運転手に確認すると安心です。
お金の払い方
乗車したら空いている席に座り、運転手か客引きとして後ろに立って乗っている人に行先を伝え、お金を渡します。
この時に満員で離れた位置に座っていて直接渡せない場合がありますが、そんな時は近くの乗客にお金をバケツリレーのように渡してもらいます。運転手によって料金は違うので、その都度追加で払ったりおつりが返ってきたりします。金額が高いお札を渡してもおつりがない場合が多いので、細かいお金や小銭があると便利です。
降り方
目的地が近づいてきたら天井を手かコインでカンカンと叩きます。そうすると止まってくれるので周りの車に気を付けながら降りましょう。
注意点
時間帯によっては超満員状態になることが多いジプニー。
そのためスリには十分気を付けましょう。特に外国人は目立つため、スリの対象にされやすいです。なるべくチャック付きのカバンで、ポケットにスマホや財布を入れっぱなしにしない様にして下さい。居眠りは厳禁ですよ!
まとめ
注意することも多いジプニーですが、慣れたらとっても便利な乗り物。
一台一台それぞれのこだわり抜かれたデザインに注目してみると、さらに楽しい旅になるかも?!