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人はなぜ「孤児院」でボランティアをしたがるのか?

人はなぜ「孤児院」でボランティアをしたがるのか?
公開日: 更新日:

私はフィリピンの孤児院でボランティアをしたいと思っていました。そこで、調べていく中で感じたことをまとめました。

世界の孤児院の実態

孤児院について調べていく中で、驚くべき数字を見つけました。

カンボジアの子ども100人に1人が施設で暮らしている
ブリティッシュ・メディア・ジャーナルの報告書より

Unicefの統計では、世界平均で833人に1人が施設で生活しています。カンボジアは世界平均の実に8倍の子どもたちが施設で生活をしています。私はこの数字に違和感を感じました。

そして、このような記事も見つけました。

『ミャンマーやカンボジアなどの国では、観光ツアーに孤児院への訪問が組み込まれ、利益を生むための事業として子どもたちが利用されている「孤児院ツーリズム」の問題があります。』
「Unicefの主な活動 子どもの保護」より引用

この「孤児院ツーリズム」というのは、カンボジアを中心に世界で増え続けており、貧困層の子どもたちをビジネスに利用しているものです。世界中の孤児院で暮らす子どもの80%は父親か母親のどちらかが存在しているという数字からも「孤児院ツーリズム」の問題が見えてくると思います。
(参考文献;Unicefの主な活動|ミャンマー・カンボジア 観光と結びつく孤児院 施設で暮らす子どもたちを家族のもとに

なぜ?誰のために?

なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?

  • 貧しい子どもたちを助けたいと思う支援者
  • 孤児院で生活する子どもたちに、楽しい時間を過ごしてもらいたいと思うボランティア
  • 貧しい自分たちが育てるよりも、施設のほうが十分な食事や教育を提供できると信じる親
  • 親に負担をかけたくないと思う子どもたち

それぞれが、それぞれの想いを抱いて孤児院で暮らし、孤児院を支援し、ボランティア活動を行っています。問題はそれぞれをつなげる橋渡しをする機関なのではないでしょうか。

セブの孤児院

セブにも孤児院があります。ボランティアを受け入れている孤児院もありますが、最近では受け入れを規制している孤児院も増えています。その原因も、先に述べた「孤児院ツーリズム」です。

とある養護施設のスタッフの方にお話を聞いた際、このようなお話をされていました。

「今は、エージェントや旅行会社を通したボランティアは受け入れていません。以前は受け入れていましたが、こちらの決まりを守らず、子どもたちよりたくさんの人数で訪れて、短時間で帰っていく方が多かったからです。また、子どもたちは親の虐待などから保護されている子どもたちもいます。そのため写真撮影、SNSへの投稿は子どもたちの身の安全おも脅かします。しかし、その重大さを理解していただけず、子どもたちとの写真をSNSに載せるボランティアが多くいました」

この話を聞いた時、同じ日本人としてとても恥ずかしくなりました。しかし、一方このようなお話も聞くことができました。

「なかには、数週間毎日通って、洗濯や掃除を一生懸命手伝ってくれる日本人のボランティアもいます。そういうボランティアを私たちは家族のように思い、別れるときにはとても寂しいです」

この話から、問題は橋渡しの機関だけでなく、参加する側にもあるのかと感じました。

なお、お話を聞いた養護施設で暮らす子どもたちも、孤児ではありません。親の経済的な理由、病気(主に薬物中毒やアルコール中毒)、子ども自身に深刻な病気があり、貧困家庭では治療が難しなど、様々な事情を抱えた子どもたちが生活しています。そして、それらの問題が解決した際には、子どもたちは親の元へと帰っていきます。

誰のために?何のために?

色々と調べていく中で改めて、安易に「孤児院でボランティアをしたい」と思っていた自分の考えの浅さを痛感しました。ボランティアをする前に以下の3つを再確認したいと思います。

①活動先の実情をしっかりと調べる
②活動先で求められている内容と、自分が提供できる内容がマッチングしているか確認する
③自分の行動に責任を持って活動する(その場だけでなく、子どもたちの未来も含め)

参考資料:ボランティア活動をする前に・・・

今回初めて「孤児院ツーリズム」という現状を知って大変驚きました。子どもたちにとって、何が1番幸せなのか。それを1番に考え、大切にできる世の中になってほしいです。

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