今回はシリーズ第3弾として、フィリピンの教育の格差についてお伝えします。
フィリピンの教育
フィリピンの教育システムにおいて、かつて義務教育は小学校6年間と高校4年間の合計10年間でした。アキノ大統領による基礎教育の拡大政策により、2013年より小学校6年間、中学校4年間、高校2年間の合計12年間の義務教育になりました。
教育改革の背景
フィリピンの子どもたちの学力は2018年に実施した調査※1によると読解力で参加79各国中最下位、数学と科学では最下位から2番目という結果になりました。読解力においては、OECD加盟国の平均点の487点を大きく下回る340点で、学力調査対象となったフィリピン人の約80%が、ある程度の長さの文章の要点をつかむことが困難なレベルとされました。また、数学で353点、科学で357点となり、これらもOECD加盟国の平均点の489点をそれぞれ下回りました。
※1 OECDによる、世界の高所得および中間所得国79カ国の15歳を対象にして2018年に実施した学力調査
教育格差が起こる原因
フィリピンでは世帯所得が一因とされています。貧困層の世帯収入は、8,000ペソ(約17,000円)から多くても15,000ペソ(約31,000円)程度です。もちろんそれ以下で生活する人々もたくさんいます。そのような状況の中、フィリピンの名門私立のサンカルロス大学の1年間の学費は約20万円となっています。さらに、教科書もすべて購入する必要があり、制服やプロジェクト代金、交通費、お昼ご飯代など膨大な費用が掛かります。貧困層の家庭にとって、子どもを私立の学校に通わせることは簡単なことではありません。
また、家族を支えるために働かなければならない子どももたくさんいます。また、小学校などへ就学しても、家庭の事情で退学してしまう子どもが多くいます。
私立と公立の教育の質
私立と公立では教育の質が大きく変わってきます。富裕層の多くは子どもを幼稚園から教育環境が整っている私立に通います。公立学校の教育レベルでは難関の国立大学に合格することはほぼ不可能という状況です。公立学校では生徒数増加に加え、2年間のシニアハイスクールが追加されたことによって教室不足や教員不足が深刻化しています。
最後に
教育というのは均等に与えられるべきだと思います。日本人にとって学校へ通うということは当たり前なことですが、海外ではそうではありません。学べる環境にいることに対する感謝の気持ちを忘れてはいけないと感じました。教師を目指すものとして、子どもたちに高いレベルの教育を与えることができるよう自分自身の向上に努めることの大切さを改めて感じました。