第一弾では、教育の質における国際的潮流をご紹介しました。第二弾の今回は、フィリピンの教育の質の課題についてご紹介します。
第一弾はこちらをご覧ください。

はじめてのPISAへの参加

国際的に学力を比較するために行われるテストの中にPISA(国際学力調査)があります。前回2018年に、フィリピンは初めて参加をしました。
PISAは読解力、数学リテラシー、科学リテラシーの3分野を調査するテストです。各国、自国の公用語でテストが行われ、フィリピンでは公用語の一つである英語で行われました。対象年齢は15歳です。

気になるその結果は…

読解力が最下位
数学リテラシーが78/79位
科学リテラシーが78/79位

という残念な結果となりました。

▶PISAの結果はこちらをご覧ください。
「PISA 2018 results 」

フィリピンの抱える課題

なぜ、このような残念な結果となってしまったのでしょうか?
考えられる理由をいくつかご紹介します。

言語の問題

様々な島で成り立つフィリピンには、約80の言語があると言われています。公用語はタガログ語と英語です。タガログ語は首都マニラのあるルソン地域で使用されています。当団体が活動しているセブでは、ビサヤ語が話されています。
基本的に、英語やタガログ語を母語としない子どもたちがそれらの言語を学ぶのは、小学校に入ってからです。
公立の学校では、小学4年生からほとんどの授業は英語で行われますが、人口の多くを占める貧困層は家庭内や友人との会話は母語で行います。また、フィリピンで販売される本は基本的に英語で書かれており、値段も高いため貧困層には手が届きません
このように、貧困層の子どもたちが学校の外で英語を使用する機会がほとんどないのが現状です。特に、本を読む習慣がないため、リーディング力をつけるのは難しくなります。

教室・教員不足

フィリピンでは2016年に教育制度が大きく改革されK-12という制度が施行されました。
このK-12より、以前の10年間の初等・中等教育から2年間のシニアハイスクールが追加され12年の初等・中等教育となりました。そのため、各学校は教室の増設や教員の増加に励みました。
しかし、公立学校の場合、資金不足のため依然としてその数が足りていないのが現状です。
現在は午前と午後の2部制で授業を行い、教員不足のため午前・午後両方の授業を同じ先生が担当することもあります。教科書もすべての生徒が持っているわけではなく、友達と共有して使用しています。このような教員への大きな負担や教材の不足が、教育の質の低下につながっていると考えられます。
また、シニアハイスクールに関しては、現在の公立の教育レベルでは難関の国立大学に合格することはほぼ不可能という状況です。

 

DAREDEMO HEROの支援

当団体では、子どもたちに少しでも質の高い教育を提供するため、教員免許を持ったフィリピン人スタッフが子どもたちの学習のサポートをしたり、週末に英語や数学の特別授業を行ったりしています。

日本人のゲストの方々にも自身の経験や得意分野について、日本についてなど授業を行っていただいています。学校では、なかなか異文化交流の機会が無いなかで、ゲストの方々との交流はとても貴重な経験となります。

そして、子どもたちが夢を実現させ、この国のリーダとなるためには大学への進学が望まれます。そのため、シニアハイスクールは大学入学前の重要な期間となり、より質の高い教育が求められます。
現在当団体には、9人のシニアハイスクール生がおり、彼らはしっかりとした教育設備や優秀な教員が揃っている私立や国立の学校に通っています。

フィリピンの教育省は、今回のPISAの結果を深刻に捉え、今後の改善案を出しています。具体的には、K-12制度の見直しや教員の質の向上、教育設備の改善、保護者との協力などです。
子どもたちの将来のためにも、教育省による教育の質の改善が早急に行われることを願います。
私たちとしては、今後も子どもたちにとってベストな方法を模索し続けていきます。