フィリピン教育省は8月24日からの授業再開を発表し、学校再開に向けて、準備を進めていますが、様々な問題が浮上しています。
授業再開の詳細はこちらをご覧ください。
▶授業開始日が遂に発表!!~新型コロナウィルス感染症下の学生たち~
エンロールメント(入学手続き)ができない!?
6月1日から学校職員は、生徒の入学手続きや授業開催に向けての準備を進めています。
フィリピンは公立校でも毎年「エンロールメント」という入学手続きをとる必要があります。これまで、学校が閉鎖されていたためできなかったエンロールが、オンラインで行えるようになり、現在少しずつですがこの手続きが進められています。
しかしオンラインエンロールメントは、インターネットアクセスが可能な保護者にしかできません。特例として、学校のゲートで入学手続きを行っている学校もありますが、全ての学校が同じ対応をしているわけではありません。
特に都市部以外の学校は学区が非常に広く、学校までの交通手段がないうえに、インターネットアクセスもない保護者もいます。その場合、昨年の担任が各家庭を回り、入学手続きを促すように教育省からは通達が出ていますが、実際は各教師の判断によって差が生じているようです。
様々な方法での学習方法
先日、ドゥテルテ大統領が「ワクチンができない限り、対面授業は禁止する」と発表したことについて、教育省も「ドゥテルテ大統領の発言に賛成する。」と正式に発表しました。
そのため、授業再開予定日である8月24日までにワクチンができていない場合、授業は学校で行うことができなくなりました。
教職員は対面授業が行えない状況を想定し、ラジオ、TV、オンライン授業など、様々な方法を模索しています。
しかし、ラジオやテレビは現実的に実現が難しく、オンライン授業もインターネット環境の整っていない貧困層には、提供ができません。
現在新たに論議されているのが「モジュラー授業」です。
モジュラー授業というのは、保護者が各自治体が指定した場所にプリントを取りに来る、もしくは教職員が各家庭に配るということです。子どもたちが課題が行い、終わったらまた保護者が学校に提出するという方法です。現時点で、このモジュラー授業と、オンライン授業の選択制になる可能性が高まっています。
インターネット環境の整った家庭では、オンラインで直接先生に質問をしたり、先生からの授業を受けることができますが、モジュラー授業では、完全なセルフスタディーになります。貧富の差によって、教育の質が明確に分かれてしまう危険性があります。
学ぶ機会をどう提供するか
未曽有の事態中、世界中の教育者が「遠隔授業」で、これまでと同等もしくはそれ以上の教育を提供できるように、試行錯誤を繰り返しています。フィリピンも同じく、教職員が自分たちにできる最良の学習方法を模索し続けています。
当団体でも、日々、子どもたちにどのような学習方法を提供するのが良いか、教員免許を持つフィリピン人と常に話し合いを重ね、挑戦を続けています。
今後も、子どもたちから学びの機会を奪わぬよう、常により良い方法を模索し、最善の方法に近づいていけるよう挑戦し続けていきます。