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フィリピンにおける女性の権利と健康衛生の向上事業

フィリピンにおける女性の権利と健康衛生の向上事業
公開日: 更新日:

DAREDEMO HEROでは、風に立つライオン基金 様のご支援を受けて、女性の権利と健康衛生の向上事業を行なっています。

子だくさんなフィリピン

世界銀行の統計では、2020年フィリピンの合計特殊出生率は2.49と発表されています。ちなみに日本は1.34です。

※合計特殊出生率とは・・・女性1人が一生で出産する子供の平均数

この数字だけを見ると、大きな違いを感じないかもしれません。しかし、統計は貧困層に特化したものではなく、さらに貧困層の中にはこのような統計の対象に入らない人々も多いため、現実はもっと数字が上がるはずです。実際に、DAREDEMO HEROが活動している地域でも、子どもの数が5人を超える家庭は珍しくなく、中には10人を超える家庭すらあります。

80%以上がローマンカトリックであるフィリピンでは、子どもは神様からの贈り物であり、幸せの象徴でもあります。そのため、「子だくさんは=幸せ」という考えがあるのですが、現実はそんなに単純なものではありません。貧困地区には、今いる子どもたちにさえ十分な食事も与えることができないにも関わらず、次々と子どもを作ってしまう母親もいます。

貧困地区に行くと、いつもたくさんの子どもたちが遊んでいます。

フィリピンの性教育

フィリピンの特に貧困層に子だくさんが多いのは、様々な理由があります。ここでは大きく3つご紹介します。

  1. カトリックの教えで避妊・中絶ができないため
  2. 「子どもは労働力」と考える親がいるため
  3. 教育、特に性に対する教育が欠如したいるため

ここでは、特に3.の性教育についてお話ししたいと思います。実は、これは1.にもかかわっています。

フィリピンでは、カトリックの影響で性に対するタブー視が非常に強く、学校では明確な性教育が行われることはほとんどありません。しかし、実際には若者中には性のカジュアル化が進んでおり、若年層の望まない妊娠が大きな社会問題になっています

特に、貧困地区では保護者の監視が薄いため、12歳ごろから性行為を始める子どもたちもいます。子どもたちは自分たちの身体の変化、性行為による代償を理解することなく、大人になっていきます。そのため、教育は非常に重要なのですが、必要な情報がしっかりと届いていないのが現状です。

貧困層の女性を取り巻く問題

貧困層の女性を取り巻く問題は様々ですが、「知識の不足」が原因のものがほとんどです。

尿路感染症、膀胱炎、尿道炎

貧困地区の女性の一般的な病気に、尿路感染症や膀胱炎、尿道炎などの細菌によるものがあります。これは、生理の際にナプキンを購入することができずに、同じものを長時間使うことや、排せつ後の処理ができていないことが原因です。また、不衛生な環境での性交渉も原因の一つです。

子宮頸がん、HIVなどの性感染症

フィリピン女性のがん発生率で、子宮頸がんは2位に位置しており、毎年多くの女性が子宮頸がんで命を落としています。子宮頸がんを誘発するといわれているHPVは性交渉により感染するため、適切な予防が必要です。また、昨今HIVの感染率も徐々に上がっており、特に性産業に身を置く貧困層の女性にとっては深刻な問題です。

家庭内暴力

貧困層の女性は、小さいころから子育や家事に従事し、十分な教育を受けずに、社会性が低いまま大人になっていきます。その中で、子どもや自分たちが食べていくためには、男性に頼らなければ生きていけません。社会保障などは日本に比べれば気薄ではありますが、それでも深刻な事態に対しては、何らかの措置が取られます。

しかし、教育を受けずに、長年男性の下で支配されてきた女性は、そのような公的サービスにアクセスすることすらできず、性的な暴力、肉体的、精神的、経済的な虐待を受け続けている女性がいます。

自分の身体を、子どもたちを守るために必要なものは?

フィリピン人は家族愛が非常に強く、ほとんどの母親は子どもたちを心から愛しています。しかし、いくら愛していても、自身の健康が損なわれていたり、子どもが病気の際に正しい対処ができなければ、愛する家族を守ることはできません。

貧困層の女性が自分たちの身体を、そして愛する家族を守るためには、まず正しい知識が必要です。さらに、困ったときに相談できる正しいネットワークが大切です。フィリピンの助け合いの精神は素晴らしいのですが、正しい知識がない者同士で助け合おうとしても、いい結果は生まれません。現代社会においても、貧困層の多くが黒魔術などに頼ってしまうのは、正しい知識も頼れる人もいないからです。

そこで、当事業では地域支援に長年携わってきた産婦人科医の指導の下、貧困層に正しい知識を伝えていきます。

より多くの人々に正しい知識を伝えるために!

必要な知識をより多くの貧困層女性に伝えるためには、DAREDEMO HEROのソーシャルワーカーやパートナーの産婦人科医だけでは限界があります。そこで今回は、バランガイ(最小自治区)のヘルスワーカーたちの協力を得て、事業を進めていきます。

バランガイヘルスワーカー(BHW)は日本でいう保健師のような業務を担っていますが、看護師などの資格や知識を持っておらず、数日もしくは数時間のトレーニングのみで業務についています。半分はボランティアのようなもので、給与も月に15,000円弱です。

しかし、彼女たちには地域の子どもや女性を守りたいという、強い意志があります!さらに、地域の人々に一番近い存在として、長期的に地域とかかわっていくことができる人材です。彼女たちをトレーニングし、正しい知識をより多くの貧困層女性に伝えていきます。

日本の技術でフィリピン人女性を救えるか?布ナプキンの挑戦

当事業では、一般社団法人blue earth green trees 様のご指導をいただき、日本クオリティーの布ナプキンの普及も行っていきます。布ナプキンが貧困層に受け入れられれば、今までナプキン代に使っていたお金を、食費や教育費に充てることができます。また、同じ技術をおしめに代用することができれば、オムツ代も節約することができます。

女性の権利が向上し、健康衛生環境が改善すれば、子どもたちもより良い環境で育つことができます。すべてが挑戦の段階ですが、貧困層の女性のより良い生活のために、今できることを進めていきます。

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