日本にお盆があるように、フィリピンにもお墓参りの日があります。ただ、フィリピンのお墓参りは、日本のそれとはだいぶ様子が違いました!
お墓での過ごし方
11月1日は万聖節(All Saints’s Day)という、キリスト教の全ての聖人を記念する祝日です。
フィリピンでは、11月1日は亡くなった先祖の魂が家族のもとに帰ってくると信じられています。そして、11月2日にその魂は天国へ帰っていきます。そのため、11月1日にご先祖様をお迎えしようと、ほとんどのフィリピン人は実家に帰省し、家族とお墓参りに行きます。日本のお盆のようなものです。
しかし、私たちが想像するようなお墓参りではありません!
フィリピンではお墓に家族が集まり、夜通し飲食をしながら亡くなった方の思い出を語り合います。中には、そのままお墓で朝を迎える人たちもいるようです。また、お墓周辺には食べ物やキャンドルなどの出店が並び、お祭りの様な雰囲気になります。これが、フィリピン流のお墓参りです。
お墓からも見える貧富の差
今回は、一般的なお墓と富裕層のお墓を見学しました。
まず、訪れたのは事務所の近くにある公立の一般的なお墓です。90%以上がキリスト教のフィリピンでは、火葬ではなく土葬が主流です。しかし都市部では十分な土地がないこともあり、ご遺体を地面に埋めるのではなく、棺を積み上げる形で土葬されています。地面に埋められているお墓もありますが、管理が十分にされておらず、墓標の上を人が歩くということもありました。また、お墓自体の装飾は少なく、質素な墓石と花束、キャンドルが置かれている程度でした。
私たちが見学したのは午前中でしたが、既に多くの家族連れで、お墓全体がとても賑わっていました。
次に行ったのは、セブの中心地に近い富裕層のお墓です。
こちらは、午前中に見学したお墓とは全くの違う雰囲気でした。綺麗に墓標が並べられており、周囲は綺麗な芝生で覆われ、さながらピクニック会場のようでした。富裕層の中でも特にお金持ちのお墓は、ほとんどが屋根付きで、人が寝泊まり出来るほどの広さが確保されていました。中には3階建てで、お城の様な見た目のお墓もありました。お墓の飾りつけに目を向けると、沢山の花束が添えられ、お墓自体も綺麗に掃除されていました。お参りに来ている方は、レチョン(豚の丸焼き)やジョリビー(フィリピンで人気のファーストフード)などのご馳走を家族みんなで囲み、和気あいあいとした雰囲気でした。
最後に
このようにフィリピンでは、お墓からも貧富の差がはっきりと見ることができました。富裕層の立派な3階建てのお墓の裏側に、トタン屋根の穴の開いた貧困層の家が見えたとき、何とも表現しがたい気持ちがこみ上げてきました。
ただ、どちらのお墓にも共通するものがありました。貧富の差に関係なく、家族がこうして年に1度お墓に集まり、亡くなった人や先祖に思いをはせるこの万聖節(All Saints’s Day)というイベントからも、フィリピンの家族愛を強く感じることができました。