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ラーニングセンターの今

ラーニングセンターの今
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DAREDEMO HEROでは、最貧困層の子どもたちに最低限の教育の機会を提供するために、3つのラーニングセンターを運営し、75名の子どもたちの支援を行っています。

ラーニングセンターが始まったきっかけ

DAREDEMO HEROでは現地NGOとして11年間、やる気と志、さらに能力の高い貧困層の子どもたちに、徹底した教育支援を行うことで、この国の貧困問題を根本的に解決できるリーダーを育成してきました。その中で、なぜ私たちがラーニングセンターをという形で基礎教育の支援を始めたかというと、そのきっかけはパンデミックでした。

フィリピンでは世界的にも最強レベルのロックダウンを行い、子どもたちの外出は1年以上禁止され、対面授業は2年半以上に渡り全面禁止となりました。そのため、オンライン授業が受けられない貧困層の子どもたちは、長期間にわたって勉強する機会が全く与えられませんでした。学校から出されるプリントの宿題は、読み書きが十分にできない貧困層の子どもたちには難しく、周囲に教えてくれる大人もいませんでした。そのため、多くの子どもたちは宿題すら諦めてしまう状態でした。

それでも学びたいという意欲を持つ子どもたち

学校にも行けない、外出もできない。そんな規制が続く中でも、子どもたちの「学びたい」という意欲は変わりませんでした。支援のために貧困地区に行くたびに、学習用品が買えない、子どもたちに勉強を教えて欲しいと相談を受けるようになりました。

そこで、まずは定期的に支援に入っていたイナヤワン地区ゴミ山、そしてカレタ墓地内の空いたスペースを使って、子どもたちに勉強を教えるようになりました。担当スタッフはそれぞれの地域の現状を良く知る、地元の教員資格を持った先生を採用しました。その後、ラプラプ地区ゴミ山でも同様の支援を開始しました。

お墓のひとつを借りた教室
地域のチャペルを借りた教室

3か所のラーニングセンター

イナヤワン最終処理場(ゴミ山)

イナヤワンのゴミ山は、JICAの支援により1995年「イナヤワン衛生埋立場」としてスタートしました。当初の計画の2倍以上である200万立方メートルが埋立てられたため、2011年に一時閉鎖されました。しかし、新たな処理場の建設もうまく進まず、さらに市長の交代などもあり、再開と閉鎖を繰り返し2016年12月に完全閉鎖されました。しかし、その後も一時保管所として、毎日たくさんのゴミがこの地域に運ばれ続けています。

この地域に住む子どもたちの多くが家族を助けるために働いており、学校に行くことができずに自分の名前すら書けないまま、大人になる子どもたちもいます。教育を受けることができなかった子どもたちは、ゴミ山の外で働くことができず、生きるためには選択肢もなく、この地でゴミにかかわる仕事を続けるしかありません。

▶イナヤワン最終処理場の状況について詳細は「こちら」をご覧ください。

カレタ墓地

推定15,000人の遺体と100の家族が暮らす、セブ市最大の墓地と呼ばれるカレタ墓地は、セブ市の中心地にある広大な公営墓地です。フィリピンの富裕層のお墓には屋根や壁があり、そこに管理人として住んでいる最貧困層がたくさんいます。キリスト教であるフィリピン人は、基本的に火葬をしないため、お墓の中にはご遺体がそのまま収められています。そんな棺をベットやテーブル代わりに生活をしています。

ここに住む子どもたちは、お墓に供えられたロウソクを集めたり、お墓を掃除したりと、自ら仕事を見つけて家族のために働いています。そのため、学校に行くことができない子どもたちもいます。さらに学校に行っても「墓地に住んでいる」ということで、いじめの対象にもなり、そのために学校に行くことをあきらめてしまう子どもたちもいます。

▶カレタ墓地の状況について詳細は「こちら」をご覧ください。

ラプラプ最終処理場(ゴミ山)

ラプラプ市のゴミ山は、国際空港や高級リゾートホテルが立ち並ぶマクタン島にあります。ほとんどの観光客は、空港から直接リゾートエリアに移動するため、その間にゴミ山や最貧困地区が存在することを知る由がありません。

この地域に住む子どもたちも、他の貧困地区の子どもたち同様、家族のために働いています。特によく見かける光景は、小学生くらいの子どもが赤ちゃんを抱っこして世話をしている姿です。親がゴミ山で仕事をしている間、妹弟の世話をするのは子どもたちの仕事です。

▶ラプラプ最終処理場の状況について詳細は「こちら」をご覧ください。

DAREDEMO HEROラーニングセンターの特徴

専属の有資格教員

各ラーニングセンターには、それぞれ専属の教員資格を持った先生が配置されています。先生たちは、子どもたちにとっても保護者にとっても、勉強を教えてくれるだけではなく、日々の相談などができる身近な頼れる存在です。

スナック・軽食の提供

ラーニングセンターでは、授業終了時に必ず子どもたちにスナックや軽食を提供しています。食べ物を子どもたちの動機づけに使うことには、賛否があると思います。しかし、これがなければ、親の中にはラーニングセンターで勉強するよりも、ゴミ山でゴミを漁ることを子どもたちに強要してしまいます。ラーニングセンターに行けば、勉強もできてスナックも食べられるということがとても重要なのです。

お米の支給

日々のスナックも重要ですが、子どもたちが働こうとする一番の動機は「家族を助けるため」です。自分だけがスナックを食べることができれば、それでいいとは子どもたちは考えていません。そんな家族思いの子どもたちのために行っているのが、無遅刻無欠席の子どもたちに対するお米の支給です。

家族のために何かできることが、子どもたちにとっては大きな喜びであり、誇りでもあるのです。

学習に必要な物資の支援

最貧困家庭では、日々の食事が何よりも大切なため、子どもたちが勉強するために必要な文房具などを購入する余裕はありません。そのため、DAREDEMO HEROでは子どもたちが学び続けるために必要な物資を定期的に支援しています。

歯磨き指導と歯科治療

貧困層の子どもたちは、歯磨きの習慣がなく、根っこが腐るほど重篤な虫歯を抱えています。DAREDEMO HEROでは定期的に歯ブラシの配布と歯磨き指導を行うことで、虫歯予防に努めています。さらに、既に虫歯になってしまっている子どもたちの治療も進めています。

体験学習

最貧困の子どもたちは、自分の住む地区から出る機会がなく、とても狭い世界で生きています。子どもたちの視野を広め、より大きな夢や希望を持ってもらうために、DAREDEMO HEROでは様々な体験学習や遠足を実施しています。

今後の展望

セブ市内にこのようなラーニングセンターを必要としている最貧困地区はまだまだあります。一か所のセンターで受け入れられる子どもたちの人数にも制限がありますが、支援を受けたいと願う子どもたちもまだまだいます。

しかし、DAREDEMO HEROは限られた資金の中で活動を行っています。そのため、ラーニングセンターの運営においてもできることは限られています。センターの数や子どもたちの数を増やすことも大切ですが、3年間関わってきた現在の75人の子どもたちの人生を、より豊かなものにしていくことも大切です。

現在は資金面の問題もあり、ラーニングセンターでは小学校卒業までの支援しか出来ていません。では、その後子どもたちはどうなっていくのか?残念ながら、現状では半分以上の子どもたちがハイスクール(日本でいう中学校)に通い続けることが出来ていません。さらに、問題なのは学校に通うことも職に就くこともできない子どもたちは、犯罪に巻き込まれたり、若年妊娠をしてより苦しい生活へと陥ってしまいます。

彼らがハイスクールに通い続けるためには、制服や学用品に加え、交通費と昼食代、スナック代など1日少なくとも60ペソ(約150円)が必要です。彼らの保護者の月収は3,000ペソ(約7,500円)から10,000ペソ(約25,000円)程度です。月1,500ペソ(約3,750円)は家計にとって非常に大きな出費です。

彼らが大学を卒業して大企業で働いたり、医者や看護師などの専門職に就くことも、残念ながら非常に難しいことです。しかし、高校を卒業して、何かしらのスキルを身につけることができれば、ゴミ山や墓地から離れ、少しでも衛生的で文化的な生活を送れる可能性が高まります。

今すぐには実現できなくても、子どもたちを高校に通わせ、その先の職業訓練までDAREDEMO HEROで提供できるようになることは、現在のラーニングセンターの展望です。

子どもたちの未来のために

これらの支援を継続するためには、皆様からのご支援が必要です。ドリームサポーターでは、毎月1,000円から、ラーニングセンターの子どもたちをご支援いただくことができます。

1,000円(1日約33円)のご寄付で何ができるのか?

  • ラーニングセンターに通う子ども1人に一か月軽食を提供できます。
  • ラーニングセンターに通う子どもたちが、学校に通うための文房具一式を購入できます。
  • 最貧困地区で30名に対して炊出しができます。
  • 10キロ(約2週間分)のお米を貧困層に届けることができます。
  • 最貧困地区の子どもたちの歯科治療(抜歯一本)が可能です。

子どもたちが、夢と希望をもって学び続けられるように、そして子どもたちの選択肢が少しでも増え、可能性が広まるように、皆様のご支援、よろしくお願いいたします。

DAREDEMO HE ROの活動をご支援ください!

月1000円でラーニングセンターに通う子ども一人の1か月分の軽食を提供や、30人の子どもたちに炊出しができます。