9月2日から11日までの10日間、広島修道大学の学生6名がインターンシッププログラムに参加しました。
単位認定インターンシッププログラム
広島修道大学のインターンシッププログラムは、人文学部総合科目「インターンシップ」の活動の一環で、フィリピン・セブ島における貧困支援活動のため、海外インターンシップを実施しています。現地で支援活動に携わるDAREDEMO HEROと連携し、単位認定インターンシッププログラムとして、参加者が実際に現地を訪れ、支援活動や現地視察を行います。
現地視察
インターンシップ期間中は、支援地域である山岳農村地区訪問、カレタ墓地、イナヤワンごみ山訪問やラプラプゴミ山を訪問し、インタビューや支援物資の配布などを行いました。
山岳農村地区では、実際に生活体験を行いました。農家から野菜を収穫し、遠くから水を汲んできてその水を使用して食器洗いを行うこと、火をおこして調理をすることなど、日本とは全く異なる環境で調理体験や農業体験を行いました。日本では水道があり、ガス一つで簡単に火が使えて調理ができる環境ですが、フィリピンではそうではないことを経験し、普段の生活で忘れかけている大切なことに改めて気づくことができました。
カレタ墓地、イナヤワンごみ山、ラプラプ地域では、住民へのインタビューと支援物資配布を行いました。実際に現地の状況や住民の様子を見て、インタビューを通してそれぞれの支援地域で何が必要なのかを考え、手がかりを見つけていきました。日本とは異なる環境ですが、現状を知り、写真やオンラインでは体験できない現地の空気に触れ、理解を深めることができました。
Luzの高校訪問では、高校生の教室で実際に30分程度の授業を行いました。学生たちは、日本の学校の一般的な学校行事を紹介しました。現地の高校生たちも興味津々な様子で、フィリピンとの比較やフィリピンの行事なども紹介し、双方が学べる機会となりました。現地の高校生の元気や明るさに助けられ、笑顔溢れる教室での授業は大盛り上がりでした。その後は、校長先生へのインタビューを行い、日本とフィリピンの教育の違いやフィリピン教育や学校が抱えている問題について聞き取りを行い、今まで知らなかった新たな発見がありました。
また、現地日系企業視察も行い、今回はセブ最大の語学学校であるQQ Englishを訪問しました。オンライン英会話とセブ島留学の両方を提供している語学学校で、今回は実際にオンライン英会話を体験しました。現地で働く日本人職員の方のお話も聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。
それぞれの場所で学生たちは住民や先生へのインタビューを行い、疑問や想いを質問し、さらに深堀りをしていきました。現地に来て人々の生活を実際に肌で感じてみると、感じることも変わり、事前に準備していた質問以外にも、疑問はどんどんと膨らみ、情報をさらに得ることができました。
大変な環境にいても現地の人たちは家族を大切に、愛に溢れた生活を送っており、私たちにとっては不便な生活を送っているかもしれませんが、お互いが助け合う姿に学生たちは現地の人達から様々なことに気づかされました。
栄養セミナー
DAREDEMO HEROの受益者に向けて栄養セミナーを開催しました。栄養セミナーでは、フィリピン人の食事の選択肢を増やし、減塩をする目的やメリットを説明しながら日本の七草粥を紹介し、実食しました。現地の人でも作成しやすい料理でありつつ、健康にも良いとされているためお粥を提供し、フィリピンでのスーパーフードと言われているマルンガイを使用し、親しみやすく工夫しました。
現地の人の栄養問題に向き合い、オンラインでの栄養改善プロジェクトで得た情報や結果を活用し、今回紹介したお粥のメリットである胃腸の調子を整えることやビタミン摂取が可能なことも伝えました。大学で学んでいる栄養の知識も活かしながら少しでも現地の人たちの食生活が豊かになるようにセミナーを行いました。参加者は、お粥のレシピを写真に撮ったり、メモを一生懸命取っており、お粥を実食した参加者からは、「家でぜひ自分でも作ってみたい」「家で作って写真を撮って送ります」という声をいただきました。
オリジナルアクションプラン
今回、現地視察やインタビューを通して、現地の人々にとって有益となる支援プランを実行するため、イナヤワンでオリジナルアクションプランを行いました。現地で得た情報、自分たちの目で見て知った現地の現状を手がかりにプランを考え、農業体験と手洗いを実施しました。現地の人たちの食と主食の選択肢を増やし、栄養面を考え、じゃがいもの育て方、そしてフィリピン人にとって馴染みの深く、栄養豊富なほうれん草についてレクチャーしました。
なぜその野菜を食べることがいいのか、なぜこの野菜を選んでいるのかを説明し、現地の人たちの栄養改善を考えながらのアクションプランは、現地の人たちにとっても参加者にとっても貴重な経験となりました。その後、手洗い教室も行いました。手洗いの大切さや、日本で行われている手洗い方法をレクチャーし、今までの手洗いからさらに発展させることができました。
書道教室
今回のインターンシッププログラムでは、学生たちが企画・運営をして書道教室を開催しました。書道を通じて、子どもたちが言葉にできない思いを文字に刻み芸術に表現することで、自分たちの夢や志をさらに向上させ、今よりもさらに努力していけたらという思いを込めました。学生と子どもたちがペアになり、コミュニケーションを通してそれぞれの夢や自分の思いを語り合い、話し合いをしながら自分に合う言葉を提案しました。魂がこもり、力強い作品には子どもたちのそれぞれの思いが刻まれています。
書道を書き終えた奨学生から、言葉に込めた思いを語ってもらいました。参加した奨学生からは、「とても良い経験だった」「この書いた文字を思い出しながらこれからも夢に向かって諦めずに努力していきたい」という声が上がりました。今回奨学生が作成した作品の一部は、参加校である広島修道大学での展示会を予定しています。
10日間のインターンシッププログラムを終えて
今回、インターンシッププログラムに参加した学生の声をお届けします!
私は実際に貧困地区を訪れたことで、自分が無知であったことを反省すると同時に貧困問題に対して当事者意識を持つことの必要性を感じました。
貧困問題は多くの日本人にとっては無関係であるため関心を持つ人は少ないかもしれませんが、だからこそ私は現地で体験したことや考えたことを発信していきたいと思います。
(人文学部英語英文学科 中野 温子)
インターンシップを通して、貧困問題を根本から解決するための支援法、支援後の現地の変化に対する追求心が高まりました。
私はもともと貧困問題に興味があり、何らかの支援をしたいと考えていたため、この活動に参加でき、心からよかったです。これからもこの活動を色々な形で発信していきます!
(英語英文学科 河内 庸二)
私はこの実習で現地の方々の環境に関わらず笑顔で過ごす姿が最も印象に残っています。家族を想い前向きに生きる姿勢は自身の生き方を振り返るきっかけを与えてくれました。
その一方で、その貧困状態は深刻で、支援は必要だと感じました。1人でも多くの共感者を増やすため、私たちにできる支援を考え続けていきたいです。(英語英文学科 藤田 愛菜)
以前の自分は、自分に自信が持てずチャレンジを恐れている人間でした。しかし、この体験で将来も不安ななか日々を楽しく過ごしている現地の人と触れ合って、チャレンジ出来る環境にいることの素晴らしさを感じました。
これからは、ここでの学びを生かして悩んだら即行動の姿勢を忘れないようにしていきたいです。(英語英文学科 重原 陸人)
セブインターンシップに参加したことで、幸せや貧困について深く考える機会を得ました。現地の方々との交流を通じて、助け合いの心と前向きな姿勢に触れた一方で、貧困の厳しい現実も目の当たりにしました。
これからは、健康栄養学科として参加した私だからこそできる支援をしていきたいと思います。
(健康栄養学科 藤廣 和香)
私はこの実習で、貧困問題を自分事として考えることの重要性を学びました。様々な活動から、貧困問題は確かに現実に起こっている問題であると肌で感じました。
これを、「大変だった」や「有意義だった」という言葉で自己完結させるのではなく、現地へ行った立場から様々な形で今回の経験を発信していきたいと考えています。
(英語英文学科 岩崎 健太)
10日間という短い時間の中で、様々な観点からセブ島の抱える問題を知り、人々のリアルな生活や文化に触れ、セミナーやオリジナルアクティビティを行いました。
限られた時間の中で、支援地域でのオリジナルアクティビティの実施、学校訪問、インタビュー、栄養セミナーを行い、決して受け身になることなく、自分から学ぼうとする姿勢、住民とのコミュニケーションや現地視察を通して自分からフィリピンの現状や貧困を知ろうという気持ちがあるからこそ充実したインターン生活となりました。
毎日、全員で振り返りを行い、その日の感想や学び、発見を共有し、新たな知識や課題発見の手がかりを見つけ、新たな気づきもありました。また、幸せとは何か、豊かさとは何か、根本的な貧困解決に向けて何が必要なのかを身をもって考えることができました。今回の経験から世界の貧困問題を他人事ではなく自分事として考え、この学びを日本でも活かし、世界に広げていき、これからさらに活躍していただきたいと思います。