ここフィリピンで、母語ではない英語がなぜ公用語の一つとされ、また実際に国民の間にも浸透しているのか。そこには歴史的、社会的な背景がありました。
街中に英語が溢れる街
アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目に英語が話されていると言われるフィリピン。ここセブでも例外ではなく、街中にはたくさんの英語があふれています。
また、お店の店員さんとも英語で会話できたり、すれ違う人々からも「Excuse me」や「Sorry」が現地の言葉に混ざって聞こえてくるくらいに、話す言葉としても人々の間に浸透しているよう。
しかしなぜ、母語ではない英語が国民の間でこんなにも広まっているのでしょうか。
そもそも、フィリピンで使われている言葉って?
フィリピンでは何語が話されているのかと聞かれてみなさんは答えられますか??現在英語とともにフィリピノ語(タガログ語)が公用語として定められていますが、実はこの国には170を超える言語が存在すると言われています。7000を超える島々からなる多民族国家ならではの特徴ともいえるでしょう。
しかし、統一国家としては国民の使う言語がバラバラであっては統治するにあたって難しくなります。そこで政府は、国民の4分の1が使っていたタガログ語を元にしたフィリピノ語を国の国語として定め、これにより国民の90%が共通の言葉を理解することができるようになりました。
英語が浸透した背景
こうして国民共通の言語が定められたフィリピン。ではなぜ、英語がここまで浸透したのか。
答えは1898年から1946年の約50年間に及ぶアメリカによる統治時代にあります。この間フィリピン全土においてアメリカによる徹底的な英語教育が実施されたのです。
またアメリカによる統治が終了したのちも英語教育が根付いているのには、グローバル化による英語の重要性が高まっていることにあると言えます。公的な文書も英語で書いてあることが多く、たくさんの情報を得るためには英語を理解していることが必須なのです。それに加えて、英語ができることによって海外で就職できるチャンスが増え、将来の可能性を広げることにも繋がります。
英語を学ぶということ
公用語が英語と聞くと、みんな生まれながらにして自然と英語を話すようになると思われがちですが、母語ではない外国語として学んでいるという点では日本と同じ。英語が浸透したきっかけはこの国特有の歴史的背景にもありますが、それと同時により良い暮らしをするためという目的のある、経済格差からみえる社会的背景もうかがえます。
詳細は以前の記事「フィリピン人は生まれた時から英語が話せる!?」
日本で生まれ日本で育ち日本語だけでも暮らしていける私たちが英語を学ぼうとするためには、その目的や目標を定めることが一つの近道なのかもしれません。