とうとう最終回、1000ペソ編です!日本が深く関わる歴史をこの紙幣から学ぶことができます。ぜひご覧ください。

1000ペソ

1000ペソには3人の人物が描かれています。まず始めに、左上のホセ・アバッド・サントス氏から紹介したいと思います。彼は日本軍侵攻時の大統領代行です。代行以前は、コモンウェルス(フィリピン独立政府)の、最高裁判所長官を務めていました。その任期期間中、日本軍がフィリピンに攻め始めてきたため、当時の大統領マニュエル・ケソンとアメリカ極東軍司令官ダグラス・マッカーサーと共に、コレヒドール島要塞に立てこもります。その後、ケソン大統領とマッカーサー氏は米比軍がバターン半島の戦いで日本軍に破れたことにより、オーストラリアへ逃亡脱出します。しかしそのような状況下でも、アバド・サントス氏はフィリピンに残留することを決めたため、ケソン大統領より非占領地域の大統領代行を任されることになるのです。

次に右上のビセンチ・リム氏。彼は日本軍侵攻時に活躍した将軍です。バターン半島の戦い後、勝利した日本軍が疲弊した米比軍捕虜を捕虜収容所まで徒歩で長距離を移動させる際、不当な扱い・食糧不足・疫病などにより、多数の死者を出したバターン死の行進を経験しています。このバターン死の行進の犠牲者を悼むために、フィリピンでは勇者の日という祝日があります。バターン死の行進と勇者の日についてはこちらもご覧ください。

最後に1番下のホセフア・リアーネス・エスコダ氏です。彼女は日本軍侵攻時に女性解放の先駆者として活躍しています。フィリピンガールズスカウトの創始者でもあります。

残念なことにこの3人全員、日本軍によって処刑されています。フィリピンの最高紙幣に描かれているのは、抗日の英雄として称えられている人物です。何気なく手にする1000ペソ。お店では、もっと小さいお金で払えないのかと文句を言われる1000ペソ。そこに秘められた歴史に、すごく心が痛くなりました。

その裏には貴重な珊瑚が生息する海域として、世界遺産に登録されたパラワン島東部に位置するトゥバタハ岩礁自然公園が背景に描かれています。そして真ん中には、サンゴ礁とミンダナオ島が産地として有名な南洋真珠とが描かれています。

フィリピン紙幣シリーズを通して、この国の歴史を学ぶことができたでしょうか?私は、様々なことを考えさせられ、そして学んだ良い機会となりました。反日の英雄3人が最高紙幣に描かれていることは事実ですが、実際にフィリピンにいて日本人だからといやな思いをしたことはありません。フィリピン人はフレンドリーで笑顔で、こんにちはと声をかけてくれます。そこには、赦す、そして隣の人のことも自分のことのように愛するという国民性が現れているのかもしれません。フィリピン紙幣を手にしたときに、みなさんもなにか思いを馳せてみてください。その時には、今までと違った感覚が芽生えるはずです。
ご覧いただきまして、ありがとうございました!