フィリピンでは救えるはずの多くの子どもの「尊い命」が失われてしまっています。
フィリピンで子どもの死因
フィリピンでは下痢性疾患で命を落とす子どもが、いまだにたくさんいます。世界的に見ても、この病気が5歳未満の子どもの死亡原因の第2位になっています。※1
この病気は知識さえあれば、助けられる病気です。それにもかかわらず、保護者の知識不足から、病気が深刻化し命を落としてしまうケースが多いのが現状です。
※1 厚生労働省検疫所 2017年より
出典:ユニセフ[Levels&Trends in Child Mortality Report 2019]
なぜ下痢で命を落とすのか
現代の日本では、下痢で命を落とす人は非常に少ないです。
しかし、発展途上国であるフィリピンでは、まだまだ下水道やトイレなどの環境が整っておらず、家の外で用を足す人が多いです。感染源としては、下水、浄化槽、トイレなど、人の排泄物で汚染された水があげられます。動物の糞にも下痢の原因となる微生物が含まれています。
下痢症疾患とは
下痢症は、1日に3回以上(一般に普通とされるよりも多い回数)の軟便または水様便の排泄と定義されています。この病気は腸管における感染症状です。さまざまな細菌、ウイルス、寄生虫によって引き起こされます。
感染は汚染された食べ物や飲み水、粗末な衛生環境で導く結果として、人から人へと拡がります。また、下痢症で引き起こされる最も恐ろしい病態は脱水症です。下痢症に陥ると、水分や電解質(ナトリウム、塩化物、カリウムなど)が、水様の便、嘔吐物、汗、尿、呼吸などによって失われます。これらの物質が満されないときに脱水症は起こります。※2
◇下痢症のタイプ◇
急性水様性下痢症:数時間から数日間続き、これらも含まれる。
急性血性下痢症 :赤痢(下痢、発熱、血便、腹痛などを伴う大腸感染症)
遷延性下痢症 :14日以上下痢が続く。
※2 WHO 2017年 Diarrhoeal disease より
私たちにできること
このような大きな問題に対して、私たちにできることは非常に限られています。しかし、多くの下痢は、石鹸を使った正しい手洗いと、安全な飲み水で予防することができます。また、下痢の際の処置として、手作りの経口補水液を十分に飲ませることなど、基本的な知識を伝えることが大事です。
日本人の私たちが、これらを当たり前に行えるのは、基礎教育の段階で、それらを徹底して教育されているからです。であれば、フィリピンの貧困層の子どもたちにも、何度も根気よく教えていくことが、唯一私たちたちにできることだと思っています。
最後に
子どもたちの可能性は無限大であり、子どもたちはみんなの財産です。これからの国を担っていく存在でもあります。しかしながら、この病気によって、世界的に毎年17億人の子どもが下痢症を起こしており、年間推定52万5,000人もの5歳未満の子どもが尊い命を落としています。※1
大切なことはまず知ることだと思います。この病気を治すための知識を少しでも多くの人に知ってもらい、少しでも多くの人の命が助かって欲しいと思っています。