新型コロナウィルス感染症は全世界を苦しめていますが、フィリピンの状況も悪化しています。そして新型コロナウィルス感染症は「貧困層」の存在をフィリピン人に伝えています。
感染者の半分以上が貧困地区
現段階で確認されているセブ市の感染者は1,800人以上です(5月21日時点)。そして、その中の半分以上が貧困層に住む人々です。
これを受け、人々は「感染者が多い理由は貧困層の人々はアルコールなどを買うお金がなく、衛生面が不十分であるから」と考え、自分たちが暮らす国の「貧困」をより深く、考え直すきっかけになりました。
現在、Sitio Alaskaという地区でロックダウンが実施されています。この地区で暮らしているほとんどの人が貧困層の人々です。バランガイ(最小自治区)Mambaling の中の1つにSitio Alaskaがあるのですが、Mambalingでは600人以上の感染者が確認されています。
彼らは感染拡大が発覚してからも外で遊んだり、ソーシャルディスタンスを守らなかったりしていたため、セブ市の人々から注目されていました。
そんな中、セブ島のメディアがこのような文を投稿しました。
「Alaskaに住む子どもたちの中にはロックダウンが実行されているにも関わらず、ゴミの中から再利用できるもの集め続けています。」
(参照元はこちら)
という内容でした。通常であれば、子どもたちは外出することは許されていません。ですが彼らは生きるために外出してゴミをあさり、お金になりそうなものを探しています。
新型コロナウィルス感染症の感染を避けるためには家からでない方がいい。しかし、家から出てお金を稼がないとその日を生きることができない。その「貧困層の人々だからこそ抱える問題」を知らされたフィリピン人は多くいると思います。
病院が貧困層の人の診察を断る
5月13日、セブ島のあるメディアがこのような記事を投稿しました。
「新型コロナウィルス感染症に感染している貧困層の人々を拒むな」というタイトルです。
セブ市の評議会は「いくつかの私立病院が新型コロナウィルス感染症に感染している貧困層の人々の診察を拒否しているという問題がある」と伝えています。
詳しい理由などはこの記事に記載されていませんでした。しかし、このような事態が発生していることを受け、評議会は「全ての私立病院は貧困層、富裕層など関係なく全員を病院に入れなければならない。特に、貧困層の人々への新型コロナウィルス感染症に対するサポートをしっかりと行わなければならない。」と発表しました。
この発表を受け入れない病院には罰則を設けるとも発表しました。
(参照元はこちら)
フィリピンという国が抱えている「貧困の現状」は新型コロナウィルス感染症により多くの人々が知る機会になりました。
今後、彼らは彼らが抱えている「貧困問題」にどのように立ち向かうのか。貧困だからという理由で苦しんでいる人々へフィリピン人はどのような対応をするのかが気になるところです。
そして当団体もフィリピン人とともにこの国が抱える「貧困問題」を解決するため、活動を続けていきます。