今、フィリピンでは新しい支援の形「Community Pantry(コミュニティーパントリー)」が注目されています。これは、一体どんなものなのでしょうか?
コロナ禍で困窮するフィリピンの貧困層
2020年3月、突然のロックダウンから始まった、感染予防対策は、1年半を過ぎた今も続いています。2020年にコロナの影響により730万人が失業し、約2,100万人の貧困層が、政府からの支援を必要としていると伝えている。
※J Prim Care Community Health調査
さらに、フィリピン人家族の30.7%が飢餓を経験し、8.7%が深刻な飢餓に苦しんでいると報告さえれた。これは20年間で最高レベルである。
※SocialWeather Station(SWS)調査
“If you go out there everybody will tell you that they’re more afraid of dying from hunger than dying from COVID. They don’t care about COVID anymore.”
(人々はコロナで死ぬことよりも、飢えで死ぬことを恐れている。彼らはコロナのことなど気にしていない)
立ち上がった一人の女性
コミュニティーパントリーは2021年4月14日に、フィリピンの首都ケソンシティのマギンハワ通り沿いの歩道でスタートしました。今では、全国500か所以上で行われているこの動きは、たった一人の女性の活動から始まりました。
アナはコロナ禍で困窮する人々のために、食べ物を積んだかごを道に置き、ソーシャルメディアで「与えることができるものを与え、必要なものを必要な分だけもらってください」と訴えました。
その投稿を見た、多くの中間層や富裕層が寄付を提供し、支援を必要としている人々が集まりました。
これが、コミュニティーパントリーの始まります。
コミュニティーパントリーの利点
コロナ禍で困窮する貧困層のために、政府や様々な民間団体が、支援活動を行っています。しかし、多くの食糧支援は、白米、インスタント麺、缶詰に偏っており、これらを中心とした食生活をおくる貧困層は、著しい食物繊維、ミネラル、ビタミン不足に陥っています。
この現状は、特に成長過程にある子どもたちに、甚大な健康被害をもたらしています。コミュニティーパントリーは、新鮮な野菜や卵や精肉を無料でもらうことができ、貧困層の食の改善にもつながります。
そもそも「助け合い」の気持ちの非常に強いフィリピンでは、このシンプルなシステムが受け入れられ、瞬く間に全国にこの活動が広まりました。
コミュニティーパントリーの課題
From each according to his ability, to each according to his needs
それぞれのできることを行い、それぞれが必要な分だけ与えられる。そんなシンプルな理念でスタートしたコミュニティーパントリーですが、全国に広まるにつれて、問題も生じてきています。
非常に残念なことに、必要以上に支援物資を持ち帰ろうとした人々が、警察により拘束されるという事態が起きています。
更に重大な問題は、これらの活動が「反政府運動」と捉えられ始めていることです。
単純な理由として、外出や集会が禁止されている現在、コミュニティーパントリーを開催すれば、そこに多くの人が集まります。十分な注意がなければ、政府が定めるソーシャルディスタンスを保つことができません。
複雑な問題として、主催者が地域での求心力を強めることを政府が危惧しているということです。さらに、コミュニティーパントリー自体が「政府は何もしてくれない」というメッセージにもつながりかねないのです。
これによって、 共産主義者またはテロリストとして、政府のブラックリストに登録され(レッドタグ)厳しい監視下に置かれる危険性があります。
貧困層のためにできること
パンデミックという未曽有の事態の中、貧困層のために何ができるのか?
動機が純粋に「誰かを助けたい」という気持ちであっても、方法を間違えれば、集団感染や意図しない問題に巻き込まれる危険性があります。
DAREDEMO HEROではこれまでの経験を活かし、自分たちの安全を守りながら、本当に困っている人々に確実に支援を届けています。
アナさんのように純粋な気持ちで活動する多くの人々の気持ちが、貧困層のもとにしっかりと届けられることを願ってやみません。