子どもたちがミュージカル!?
先日、イナヤワンラーニングセンターの子どもたちが、NPO法人Les World(詳しくはこちら)のキャストと協力し、3/13〜23の10日間をかけて、ゼロからミュージカルを創り上げました。
この記事は、「DAREDEMO HERO」インターンのソラが担当いたします!子どもたちはこのイベントを通して、何を成し遂げ、何を得たのか。 彼らの成長や感動の瞬間をお届けいたします!


イナヤワンラー二ングセンター
イナヤワンラーニングセンターは、広大なゴミ山が広がるイナヤワン地域に暮らす子どもたちに、学びの機会を提供するために設立されました。この地域の多くの子どもたちは、ゴミ山から再利用できるものを探し、それを売って家計を支えています。そのため、十分な教育を受けるチャンスを持てずにいるのが現状なのです。(詳しくはこちら)
そんな子どもたちに、「未来を切り拓く力」を――。


初対面〜出会い〜
3月13日、レワールドと子どもたちの初対面の日がやってきました。最初こそ、初めての出会いに緊張した様子もみられたものの、レクリエーションで交流を深めると、あっという間に打ち解けた様子をみせていました。この光景を見た時、子どもたちの適応能力の高さを改めて実感…
また、初日にもかかわらず、子どもたちはキャストの名前を次々と覚えていき、そのスピードの速さにはキャストも驚きを隠せない様子でした。一人ひとりの名前を呼びながら笑顔で交流する姿。そこには初日とは思えないほどの打ち解けた雰囲気が広がっていました。


子どもたちに起きた変化
「はじめまして」からの数日間。順調だった初日とは裏腹に、そこには険しい道のりが待っていたのです。集中力が切れると、どこかに行ってしまう子どもたち、さっきまで元気だった子が急に泣き出したり、時にはケンカが起きたり…。当たり前のように起こるハプニングが次々とやってきたのです…
そんな中で子どもたちは、日々キャストとの信頼関係を少しずつ深めていくに連れ、「キャストのこのミュージカルにかける熱い思い」に少しずつ気づき始めるのです。
練習時、どんな状況でも決して諦めることなく、彼らに寄り添いながら一歩ずつ前進しようとする姿に、子どもたちは胸を打たれ、彼らの期待に応えたいという気持ちが芽生え始めたのです。
ただの“練習期間”ではなく、信頼や絆が静かに、でも確かに育っていった数日間。子どもたちのミュージカルに対する想いは、練習を通して着実に強くなっていくのでした。


本番前日〜10日間の集大成を前にして〜
本番を翌日に控えたこの日、子どもたちはいつもと変わらず自由で、そして楽しそうに練習に取り組んでいました。歌って、踊って、笑って…その姿は生き生きと輝いていました。。
しかし、「今日が最後の練習だよ」そうキャストが伝えたときの、子どもたちの表情は、寂しさで満ち溢れていました。別れを惜しむようにハグをする子、壁にキャストの名前を書き始める子。その姿に、これまでの10日間が一気に蘇ってきて、キャストと子どもたちは、それぞれが言葉にならない想いを噛み締めている様子でした。
また、キャストたちは、本番を迎えるにあたっての子どもたちの体調や、緊張などの心配を抱えていました。しかし、その心配をよそに子どもたちは、目をキラキラと輝かせながら、心から本番を楽しみにしている様子。この様子を見た時、彼らの心配は杞憂だったということに気付かされるのです。
練習が終わり、キャストが本番用のチラシを手渡すと、子どもたちは誇らしげにそれを受け取りました。その瞳の輝きは、舞台の主役が自分たちであることをしっかりと意識している証でした。
会場を包み込んだパフォーマンス
3月23日、積み上げてきた練習の成果を披露する時がついにやってきました。ほんの少しの緊張感が漂う中、みんなの表情には、期待とワクワクが溢れていました。本番前のリハーサルでは、キャストと子どもたちによるワークショップを実施。子どもたちがキャストと肩を寄せ合い、心を重ねていく時間は、10日間で築いた絆をあらためて実感するひとときになっていました。
この日は子どもたちにとって、キャストと過ごす最後の日。この日に向けてみんなでに本気で取り組んできたからこそ、彼らの目には涙が… この限られた時間の中で、10日間を通して経験した最高の思い出を、余すことなく噛み締めていたのです。


その後、衣装に着替え、円陣を組んで気合を注入── いよいよ、10日間の集大成を届ける“本番”が始まりました。
オープニングを飾ったのは、全体曲である「“You and Me” from Descendants 2」。一曲目の段階から、子どもたちの表情は、 “純粋な笑顔” で満ち溢れていました。10日間とは思えないほどのチームワークで会場を沸かせ、観客を笑顔にする子どもたち。そして何より、彼らは心からダンスを楽しみ、共に過ごしてきた仲間との時間を、心から楽しんでいるのが伝わってきました。
また、曲が進むにつれて、一人ひとりの表情にはさらに自信が宿っていき、それに呼応するように、会場の空気もさらに温かく、優しいものへと変わっていきました。この空気こそ、キャストと子どもたちが、自分たちの力だけで創り出したもの。 これは間違いなく、“彼らにしか創れないステージ” だったのです。
その後の演奏も順調に進んでいき、ついに迎えた最終曲へ。彼らが披露したのは「My Anthem – Aragon」。この曲は、初日から共に歌い練習を重ねてきた、彼らにとって特に思い入れのある1曲です。また、彼らはこの曲から “扉”、“新しい自分”というキーワードを見出し、演奏前にお互いの衣装にペインティングをすることで、“新しい自分”を表現。これにより、会場の雰囲気はクライマックスを迎えました。


そして始まった最後の曲──そこには、これまでの練習で積み上げてきたすべてが詰まっていました。息の合ったパフォーマンス。みんなの笑顔。すでに6曲を披露したとは思えないほどのエネルギーで、全力のラストダンスを見せてくれました。
パフォーマンスを終えたあとの、子どもたちの晴れやかな表情。自然と肩を寄せ合い、笑顔があふれる姿。その空気は、まるで静かに流れる“エンドロール”のようで、会場全体がひとつの感動に包まれました。


____________________________
わずか10日間という限られた時間の中で、「セブ島の貧困地域の子どもたちとミュージカルを完成させる」ことの難しさは、想像を超えるものだったと思います。しかし、Les Worldのキャストの本気の想いが、子どもたちを突き動かし、その期待に応えたことで、このような素晴らしいステージが完成したのだと感じます。
この活動を通して子どもたちは、「一つの目標に向かって努力する」ことの大切さを、深く実感することができた思います。これは、彼らの純粋な性格や向上心の賜物であり、子どもたちの大きな成長につながったと感じます。また、この10日間の活動を通して生まれた“絆”と“新しい自分”は、キャストと子どもたち、双方にとって一生の宝物となったはずです。
私は、このミュージカルプロジェクトに「DAREDEMO HERO」の一員として携われたことに、とても感謝しています。この活動を通して、子どもたちの計り知れぬバイタリティとポテンシャルを再確認することができました。また、彼らが秘めている可能性を絶やさぬためにも、我々DAREDEMO HEROは、さまざまな活動を通して、彼らをサポートして参ります。