セブ市では6月1日から様々な規制が緩和されていますが、その中で未だにロックダウン、トータルロックダウン(完全隔離)が実施されている地区があります。
未だに隔離されている人々
今回、政府が規制を緩和して、General Community Quarantine(GCQ)に変更した大きな目的の1つが「経済の再開」です。規制緩和後、多くの業種の再開が認められ、雇用回復の兆しが見えてきています。少しずつですがセブの人々の暮らしが日常に戻ろうとしています。
そんな中、未だに8つのバランガイではEnhanced Community Quarantine(ECQ)又はトータルロックダウンが続いています。ECQ下では、外出許可書を持った人のみ、必要最低限の外出が認められますが、トータルロックダウン(完全隔離措置)下では、一切の出入りが許されません。
この、8つのバランガイの中には当団体で支援をしている地区が3つあります。
(参照元はこちら)
それぞれの支援
未だにECQ又はトータルロックダウンが実施されている場所で当団体が支援しているのは
- バランガイLuzの中のZapatera地区
- バランガイMambaling
- バランガイCarreta
の3つになります。
Zapatera地区での支援
この地区には当団体で支援している奨学生が2人生活しています。4月9日に新型コロナウィルス感染症に感染した人が発見され、4月12日にトータルロックダウン(完全隔離)となりました。トータルロックダウンとなりまもなく2か月が経過しますが、未だに状況は改善していません。
▶詳細はこちらをこちらをご覧ください。「トータルロックダウン(完全隔離)となったZapatera地区の今」
当団体ではZapatera地区がトータルロックダウンされてから様々な支援活動を行ってきました。隔離措置が取られている人々が飢えに苦しまないよう、新型コロナウィルス感染症の恐怖が少しでも和らぐよう、食料の配布、アルコールやマスクの配布などを行いました。
▶Zapatera地区での詳しい支援活動はこちらをご覧ください「新型コロナウイルス感染症に対する支援活動 」
バランガイMambalingでの支援
この地区はセブ市で一番感染者が多い地区です。このMambalingは当団体にとって、思い出の地です。
2017年、セブ日本人会主催盆踊り大会が開催されました。その際、特別ゲストとして参加して下さったのが世界的に有名な和太鼓バンドGOCCOさんです。GOCCOさんは盆踊り会場に来ることのできない子どもたちのために、会場近くのMambalingで和太鼓のワークショップを開催してくださいました。
▶詳しい様子はこちらをご覧ください「セブ日本人会主催 盆踊り大会ご報告④」
そして、その思い出の地が新型コロナウィルス感染症で大変な状況になっていることを知ったGOCCOのメンバーさんよりご支援を頂き、支援物資を感染地区に運ぶ、フロントライナーのための防護服やマスク、グローブを届けました。
バランガイCarretaでの支援
当団体では、このバランガイにある墓地に住む貧困層の人々への配給支援と、1人の赤ちゃんに対する特別医療支援を行っています。
▶詳しくはこちらをご覧ください「守れる命を守りたい!~私たちにできること~」
この墓地は政府から居住地区として認められていません。そのため、墓地で生活をする人々には、行政からの支援がなかなか届きません。普段、彼らは墓地に訪れる人々にろうそくや食べ物を売り、生計をたてていましたが、ロックダウンにより人々が全く訪れなくなりました。
そのため、収入もなく、政府からの支援を受け取ることができない彼らは1日1日を生きていくことがより困難になりました。そこで当団体ではその墓地へ食料の配布や、子どもが飲むミルクなどの配給支援を行いました。
今後の彼らの生活
セブ市では人々が仕事を再開し、経済が再開するよう、規制の緩和をスタートしています。一方で、8つのバランガイに暮らす人々は外に出ることさえ許されていません。この状況が長引けば、貧富の差はより広がります。また、フィリピンの経済成長に伴い、貧困層から抜け出し、中間層となった人々が、また貧困層に逆戻りしてしまう危険性もあります。
このような状況でも、生活に困窮することのない一部の富裕層。
1人で多くの家族、親戚、友人を支えなければならない少数派の中間層。
職も収入もない中、中間層の支援を受けて何とか生きている多くの貧困層。
これが、現在のフィリピンの現状です。
非常に不安定な危ういバランスを保つこの状況が、いつどんな影響で崩壊してしまうか分かりません。どうにかバランスを保てるよう、政府が何らかの措置を講じてくれることに期待しています。