DAREDEMO HEROでは、2022年から3年間、 味の素ファンデーション様の助成を受け、フィリピン人の食に関する実態調査及び、栄養改善を実施しています。
プロジェクトの経緯「貧困層の実態調査に基づくコミュニティー主体の栄養改善事業」
実態調査について「貧困層の食生活実態調査スタート!」
国際カンファレンスについて「日比国際栄養カンファレンス」
受益者拡大のための連携
このプロジェクトでは、現在セブの貧困地区3か所で各100世帯、合計300世帯を対象として、食生活の実態調査と、改善策の提案を行っています。しかし、セブには私たちがリーチできない、たくさんの貧困層が、正しい情報を知らないまま偏った食生活を続けています。
彼らに少しでも正しい知識を伝えるために、DAREDEMO HEROでは、各バランガイ(最小自治区)のヘルスワーカーと連携を図り、受益者の拡大に努めています。BHW(バランガイ・ヘルス・ワーカー)は各バランガイに配属されている、住民に最も近い存在ですが、特に資格を持った人材が配置されているわけではなく、保健衛生に関心のある一般住民が、数時間のトレーニングを受けて任務にあたっています。
そのため、BHWがより専門性の高い正しい知識を各地域住民に伝えることで、その地域の受益者を拡大することができます。
バランガイ・ヘルスワーカーの挑戦
今回、味の素ファンデーション様の助成事業の一環で、BHWが中心となった各地域での栄養セミナーを開催しました。BHWは市の保健省の元、様々な活動を行っていますが、非常に限られた予算の中での活動となります。そのため、BHW自らが地域にとって必要だと判断する内容のセミナーを開催することはできませんでした。
しかし、住民に一番近いBHWだからこそ分かる地域のニーズがあります。今回は、事前に何度も話し合いを重ね、各地域で必要としている内容のセミナーを、BHWが実施しました。
現地インターン生の活躍
現在、DAREDEMO HEROではセブ医科大学で栄養学を学ぶインターン生7名が、活動のサポートをしてくれています。彼らは、食事調査のデータ化だけでなく、BHWにバランスの取れた調理方法や、それぞれの栄養素の重要性などを教えてくれています。
DAREDEMO HEROでは、貧困層の栄養改善を強く願っていますが、専門的な知識を持ったスタッフがおらず、栄養改善以外の様々なプロジェクトを実施しているため、マンパワーも足りていません。そんな中、インターン生の活躍はこの事業にとって、非常に重要な役割を担っています。
事業の裏側
今回、3か所の支援地区で約1,000人を対象にセミナーを開催しました。セミナーでは日々の食事に一工夫を加えることで、より栄養価の高いメニューができることを紹介しました。理想を言えば「お米を減らして野菜をたくさん食べよう!」となりますが、貧困層の経済状況では、理想はあくまで理想で実現不可能なものです。
貧困層でも実現可能で継続可能な改善策として、安価で手に入るモリンガのおいしい調理方法や、缶詰の一工夫を紹介し、自宅でもすぐに試せるようにと、使った食材を参加者に配布しました。1,000人分の食材を準備するのは、容易なことではありません。スタッフ、インターン総出で数日かけて準備し、無事に参加者に配布することができました。
物資配布の本当の意味
セミナーの参加者に対して、このような物資を配布することに対して、批判的な声を頂くこともあります。日本の感覚で言えば、知識を得るためにお金を払ってセミナーに参加することが当たり前で「物をもらえるから参加する」というのはおかしい!というご意見も確かに正しいと思います。
しかし、貧困層は日々ぎりぎりの生活をしており、目の前のことで精いっぱいです。教育を受けていない人も多く、知識の重要性を理解できていない人もいます。まずは関心を持ってもらうこと、そして知識を与えて実行してもらうこと、そして貧困層自らが変化に気づき、もっと学びたいと思ってくれることが大切です。
私たちには、貧困層の生活を大きく変えることは不可能です。しかし、少しの知識を与えることで、意識が少し変化し、彼らの食生活に変化をもたらすことは必ずできるはずです!
長い道のりですが、着実に一歩一歩事業を進めていきます。