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フィリピンの歴史・文化に触れる!フィリピンの祝日・独立記念日

フィリピンの歴史・文化に触れる!フィリピンの祝日・独立記念日
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独立記念日について

6月12日はフィリピンの独立記念日です。正確には、1898年にスペインによる長期支配から独立を宣言したことを記念する国民の祝日です。

実はこの日はフィリピンが完全な独立国家となった日ではなく、これ以降1946年に完全な独立を果たすまで、フィリピンはアメリカ合衆国の植民地となりました。とはいえ、独立宣言の発表というシンボリックな出来事は今でもフィリピン人の心に刻まれています。独立記念日はフィリピンの人々に民族の誇りを思い出させ、フィリピン人としての結束を強める、重要な記念日として人々に祝われているのです。

フィリピンの歴史

フィリピンの歴史は大きく分けると、スペイン統治以前(~1521年)、スペイン統治時代(1521~1898年)、アメリカ合衆国植民地時代(1898~1945年)、独立以降(1946年~)の四つの時代に分けることができます。ちなみに、太平洋戦争中には日本がフィリピンを占領していた時期もあります。

今回は、1521年にスペイン人によって征服され1898年6月12日にスペイン統治から自由を勝ち取るまでのフィリピンの歴史をご紹介します。

16世紀の大航海時代、フィリピンにもスペイン船団が上陸し、キリスト教への改宗とスペインへの服属を強いました。これがスペインによるフィリピン統治の始まりです。これから約300年後の1880年代から90年代にかけて、フィリピンの独立運動が活発化します。この時期に活躍した人物として有名なのが、ホセ・リサールです。彼は、武力ではなくプロパガンダ(宣伝活動)による働きかけを行った穏健派で、その優れた能力と知識から人々の圧倒的な人気を得て、多くの活動家に影響を与えました。リサールの死後、独立運動はより勢いを増していきます。1898年に米西戦争が勃発すると、革命家の一人であったエミリオ・アギナルドはアメリカと交渉を行い、フィリピンの独立への協力を取り付けます。そして1898年6月12日フィリピンの独立が宣言されました。

フィリピンの歴史に関して詳しい情報はぜひこちらの記事も併せてご覧ください!

フィリピン独立記念日:https://daredemohero.com/17673/

リサール像
サンチャゴ要塞

現地での祝い方

フィリピン人にとってとても重要な独立記念日。フィリピンの人々のお祝いは数日前から始まります。

数日前から、各家庭の車やジプニーに、フィリピン国旗が掲げられます。記念日が近づくと、スーパーマーケットやモールなどいたるところにフィリピン国旗が並び、住民はそれを購入して家などに飾るのです。

記念日当日は、シティーホールや公園などでセレモニーが行われます。フィリピンの首都マニラでは、道でパレードも行われます。また、テレビ番組では独立記念日がテーマとして取り扱われ、街中で国歌が流れます。

DAREDEMO HEROの奨学生たちも記念日をお祝いしたようです!

現地スタッフに聞いた!あなたにとって独立記念日とは?

今回は、フィリピンに生まれ育ったDAREDEMO HEROの現地スタッフにインタビューをしてみました。彼らがスペイン統治や独立に関してどのような考えを持っているのでしょうか。

Q. あなたにとって独立記念日とは?

A. 自分自身の名前や法、国籍、市民権などが手に入った、私たちにとって象徴的な日です。スペイン統治以前は、フィリピンは国家として成立してはおらず、各地域で慣習法のようなものが個人間で運用されていたくらいでした。スペインからの独立を果たす過程で初めて私たちはしっかりとフィリピン人としてのアイデンティティを確立したのです。独立を率いた英雄たちはフィリピンに民主主義をもたらしました。そのおかげで今の、お金や権力に関わらず国民全員が法で守られている民主的な国が誕生したのです。私たちはそれをとても誇らしく思っています。

インタビューに答えてくれた二人のスタッフです!

Q. フィリピン人は独立記念日をどのように祝いますか?

A. パレードに参加するなど家の外で祝う場合もあるし、家の中で家族や近所の人と「独立記念日、おめでとう!」と声を掛け合って祝うような場合もあります。また、テレビで記念日に関する番組を放送したり、街中で国歌を流したり、シティーホールでセレモニーを行ったりと、政府も記念日を祝うために様々なことを行います。人々の意識は、占領への対抗という意味合いより、過去に身を挺して独立のために戦った英雄たちや名もない犠牲者たちへの感謝と祝福にあります。また、今を生き自由を享受できる私たちを改めてお祝いするのです。

Q. フィリピンでは歴史についてどのように学ぶのですか?

A. フィリピン人は、独立運動の英雄たちについてとても詳しく学びます。偉人の一人ひとりがどのような功績を残したか、みんなが説明できます。ホセ・リサールは最も有名な英雄ですが、他にも、女性の権利向上を働きかけたガブリエラ・シランや、リサールの意思を受け継ぎ運動を拡大したアンドレス・ボニファシオなどがいます。私たちフィリピン人は、彼らをとても尊敬しています。

インタビューを経て

現地スタッフから話を聞いて、改めてフィリピン人は日本人とは異なる価値観を持っているということを認識しました。

フィリピン人は、自分たちの国の偉人を敬愛しています。フィリピンでは教育を受けた国民のほとんどが、自分が尊敬する偉人を挙げて説明することができるそうです。日本ではそうもいかないでしょう。また、長い間他国の支配を受けてきた歴史があるためか、現在自分たちが享受している自由への感謝の気持ちもとても強いです。

また、インタビュー中に何度も出てきた「過去は過去、今現在が重要」という言葉もとても印象的でした。「支配側も被支配側も、支配・被支配の関係があったのは昔のことで、今の私たちにはどうすることもできない。それより今いい関係性を築くことができればいい」と現地スタッフは言っていました。彼らにとって独立記念日は、支配を受けたときのつらい記憶や犠牲を思い出す日ではなく、得た自由に感謝しお祝いする日なのです。これは、日々を明るく楽しく過ごすフィリピン人だからこその考え方なのかもしれません。

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