8月11日に、DAREDEMO HEROの支援する奨学生、ラーニングセンターの子どもたち、その保護者が集まる大規模イベントが開催されました!ただ楽しいだけでなく、子どもたちにとって学びの多い、意義深い一日となりました。
ファミリーデーとは
DAREDEMO HEROでは現在53名の奨学生と100名ほどのラーニングセンターの子どもたちを支援しています。普段は別々の学校に通いそれぞれの場所で生活している子どもたちですが、そんな彼らが一堂に会する大きなイベントがあります。それがファミリーデーです。ファミリーデーでは子どもたちがグループに分かれステージで出し物を披露したり、団体戦のゲームを行い順位を競います。
DAREDEMO HEROが普段行っている教育支援と比べて、ファミリーデーというイベントは少し毛色が違うと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし日頃から行っている教育支援と同様に、ファミリーデーという催し物には大きな意義があります。まずは、奨学生とラーニングセンターの子どもたちの交流の場になるという点です。普段関わり合うことがあまりない奨学生とラーニングセンターの子どもたちですが、彼らの交流は相互に良い影響をもたらします。奨学生にとっては、彼らがこれから変えていく「社会」や「貧困」について知る機会になります。そしてラーニングセンターの子どもたちにとっては奨学生は身近なロールモデルであり希望でもあります。自分たちと似た境遇(貧困世帯)から選出された奨学生が夢に向かって努力する姿は、ラーニングセンターの子どもたちの勉強や努力へのモチベーションになります。
また今回のイベントを運営した上級生の奨学生にとっては特に、大きなイベントを動かすという貴重な経験となりました。 今回のファミリーデーは、手続き等の大人の手が必要な場面以外は全て年長の奨学生によって運営されました。この経験で彼らは一段とリーダーシップを高めることができたでしょう。
そしてファミリーデーのようなイベントは、子どもたちの保護者にとっても、生活や子育てでの様々な悩みなどを分かち合う場でもあります。このように、ファミリーデーは子どもたちが未来のリーダーに成長する過程で重要な意義を持つイベントなのです。
開会式
開会式は司会を務める奨学生の明るい掛け声で幕が上がりました。前日の夜まで練習を重ねた司会の3人によるスムーズな進行で、滞りなく式を始めることができました。
開会式ではまず、全ての子どもたちがOpening prayer(催し物の最初に歌う、祈りの歌)の「Jubilee song」を合唱しました。(※「Jubilee」とは、「特別な日」や「祝典、記念日」といった意味の言葉です。「Jubilee song」はフィリピンのクリスチャンソングです)続いて、日比の交流を記念して両国の国家を歌いました。フィリピン国歌はもちろん、子どもたちは日本の国歌も完璧に歌い上げていました。
合唱が終わり、ゲストの方から一言スピーチをいただいて、いよいよステージ発表がスタートです!
テーマは「夢」!ステージ発表
ファミリーデーの出し物は、奨学生が3グループと各ラーニングセンターとに分かれ、全6グループが発表を行いました。今年のテーマは「Wave of dreams」。歌、ダンス、寸劇と方法は様々ですが、このテーマに即した出し物を各グループが一から作り上げます。
この日のために子どもたちは夏休み期間で準備と練習をしてきました。年齢によってできるパフォーマンスの幅も変わってきますが、それぞれの年齢に合わせてうまく振り付けと構成を作り上げていました。また衣装も、それぞれが私服や制服をアレンジしたり手作りのアクセサリーを身に着けたりと創意工夫に溢れていました。
ディズニー映画のヒロインに扮して夢を持つことについて歌ったグループや、制服を着たごく普通の女の子が夢を目指す様をミュージカルのように歌とダンスで表現したグループなど、いろいろな表現方法で、どのグループも素敵な発表を披露してくれました。最年少は今年度エレメンタリースクールに入学したばかりの小学1年生から最年長は大学4年生までと、幅広い年齢層の子どもたちが力を合わせて出し物を作り上げてその成果を発揮する姿はとても感動的でした。
チーム対抗・団体ゲーム
ステージ発表が終わると、次はチーム対抗のゲームを行いました。奨学生と各ラーニングセンターの子どもたちが混合で6つのチームに分かれて3つのゲームで競い合いました。
一つ目の競技は「スイカ早食い競争」です。ただし、普通の早食い競争とは少し異なります。チーム内でペアをつくり、一人がスイカを持ってもう一人は手を使わずにスイカを素早く食べ切るというルールです。クリアにはペア同士で力を合わせる必要があります。年長の子どもたちも年少の子どもたちも大きなスイカを必死に食べていました。
二つ目の競技は「風船運び競争」です。ペアを組み、お互いの背中で風船を挟んで移動します。決まったルートで移動を終えたら次のペアに風船をパスし、チームの全てのペアが風船を運び終えるまでの時間を競います。背丈が違うペアなどもありかなり難しい競争でしたが、それぞれのペアが互いに声掛けをしたりチーム内の上級生がアドバイスをしたりと全員が協力しながらすべてのグループがクリアできました。
三つ目の競技は「海水バケツ運びリレー」です。チームで一列になり、バケツいっぱいの海水を次から次に移し替えていくゲームです。注ぐ人は、背後のバケツの位置を確認せず周りの人の指示のみに従って後ろの人が持つ空のバケツに海水をできるだけこぼさず注ぎます。列の最後尾まで海水を移し終えたときのバケツに残った海水の量を競います。自分の目で見たものだけでなく仲間を信じることが必要な競技です。今回はゲストの皆さんにも指示だしとして参加していただき、子ども達と力を合わせてゲームクリアを目指していただきました。
ゲームはどれもチーム内でのコミュニケーションを高められるような内容のものでした。一生懸命で勝利に貪欲なフィリピン人の性質も相まって、とても盛り上がっていました。
お昼ご飯&フリータイム
ステージ発表とゲームが終わった後は、全員が待ちに待ったランチタイムです。子どもたちが大好きなフライドチキンや甘いスパゲッティに加え、パンシット(フィリピンの麺料理)やルンピア(フィリピンの春巻き)など子どもたちのお母さんの得意料理も並びました。そしてメインはゲストの皆様からいただいたレチョン(豚の丸焼き)です!レチョンはフィリピンではお祝い事などのイベントで食べるご馳走です。普段は滅多に食べることのないご馳走を、大好きな家族と一緒に食べる子どもたちはとても幸せそうでした。
ランチタイムが終わると、続いて表彰式・閉会式が行われました。午前中のステージ発表とゲームの順位が発表され、子どもたちにゲストの皆様からご支援いただいたプレゼントが手渡されました。学用品やぬいぐるみを手渡され、どの子どもたちもとても嬉しそうに互いの健闘を讃え合っていました。
ステージ発表にはゲストの皆様の審査に基づき1位から6位まで順位がつけられます。どのグループの発表もメンバー全員の努力が感じられる素晴らしい出し物でした。全員の努力を認めて全グループに1位を与えたいところですが、こうして順位をつけてそれに応じた褒賞を贈ることで、参加者全員の向上心をさらに高めることにつながります。したがって、DAREDEMO HEROではこの「順位をつけて努力を目に見える形で認める」というプロセスも大事にしています。
閉会式では、「世界に一つだけの花」を全員で合唱しました。練習の成果が表れた、振り付きの完璧な合唱でした。
閉会式が終わると、いよいよフリータイムです!子どもたちは、家族や絆を育んだ仲間たちと一緒に海で遊んだりアイスクリームを食べていました。ビーチで遊ぶということも、貧困層の子どもたちにとっては滅多に経験できることではありません。今回のイベントをビーチの施設を借りて行うことができたからこそ、こういった経験を子どもたちに提供することができました。
奨学生やラーニングセンターの子どもたちからは、普段会えない仲間との交流やご馳走、海で泳ぐ体験など、DAREDEMO HEROと支援者の皆様の存在がなくては味わうことのできない貴重な経験に感謝する声が多く上がりました。
最後に
今回もファミリーデーを通して、DAREDEMO HEROのスタッフと奨学生、ラーニングセンターの子どもたち、保護者がより一層絆を強め、将来へのモチベーションを高めることができました。これから子どもたちにとっては勉学を究める一年、スタッフにとっては支援活動を広げる一年がスタートします。今年のファミリーデーもその節目にふさわしいイベントとなりました。このイベントを執り行うことができたのも、日頃からご支援いただいている皆様の心温かいお力添えのおかげです。感謝申し上げます。