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セブ島沖地震 緊急支援活動の記録

セブ島沖地震 緊急支援活動の記録
公開日:

―現地で見えた課題と、これからの支援について―

震災発生と現地の被害状況

9月30日夜、セブ州北部ボゴ市沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生しました。震源の深さは5kmと浅く、セブ北部の町では震度7(日本の基準でおよそ震度5程度)を観測。ボゴ市、メデリン町、サンレミヒオ町などで多数の家屋が倒壊し、死者69人、負傷者186人が報告されています。

セブ市内では建物の倒壊は免れたものの、強い横揺れが続き、多くの人々が不安な夜を過ごしました。震源地に近い地域では停電や断水が続き、今も生活再建の見通しが立っていません。

被災直後のDAREDEMO HEROの対応

当団体の拠点があるセブ市では大きな被害はなかったものの、発災直後から現地スタッフが情報収集を開始しました。多くの支援が報道で注目されたボゴ市周辺に集中する中、支援が届いていない内陸部や幹線道路から離れた地域の実情を把握することが急務でした。

現地スタッフやインターンが翌朝から被災地に入り、物資状況や避難所環境を確認。「どこに、どのような支援が必要か」を把握するため、行政機関・教育関係者・地域住民との面談を重ねました。

聞取りの結果、今一番必要なのは灯(ソーラーライト)という声が多く、いただいたご寄付の一部(110万円)は、10月4日朝に日本からセブへ送金し、その資金で、185個のソーラーライトを購入しました。

被災地では、余震の不安から多くの人々が屋外で夜を過ごしており、電力も復旧していない地域が多くあります。ロウソクで明かりを取る人々も多く、火災の危険が高まっていました。その中で、ソーラーライトは安全で持続的な明かりをもたらす「命を守る灯り」となっています。

スタッフは渋滞と道路の損壊を乗り越え、約8時間かけて被災地に到着。深夜までかけて一軒一軒にライトを配布し、暗闇の中で再び光を取り戻した被災者の笑顔が印象的でした。

奨学生たちによる支援活動

発災後最初の日曜日、DAREDEMO HEROの奨学生たちが、自ら被災地支援に参加しました。看護師や医師を目指す奨学生も多く、「学びを活かして人の力になりたい」という想いで活動。

夜中の3時に出発し、道路の損壊や支援車両による大渋滞の中、12時間かけて被災地に到着しました。奨学生たちはセブ市内で手作りした栄養たっぷりのお粥を運び、一人ひとりに声をかけながら配布。「インスタント以外のごはんが食べられてうれしい」と、被災者から涙ながらの感謝の声が寄せられました。

また、看護師を目指す学生たちは避難所での健康相談や血圧測定を実施し、地震のストレスや疲労による体調不良に対応しました。彼らの行動は、まさに「学びを行動に変える力」を象徴するものでした。

現地訪問で見えた「支援の空白地帯」

10月5日、北セブの被災地域をバイクで約10時間かけて巡回し、行政支援の進捗や現場の実情を確認しました。その結果、Tabogon町Kal-anan地区を今後の重点支援地域として支援を検討することを決定しました。

Kal-anan地区では295棟の住宅が全壊し、Kal-anan小学校が避難所として使用されています。しかし校舎自体も大きな損傷を受けており、授業再開の見通しは立っていません。電力は未復旧のままで、約30世帯がブルーシートを張った簡易テントで避難生活を送っています。報道や支援が集中しているボゴ市に比べ、Kal-anan地区には大規模なNGOや企業の支援がほとんど届いていません。

現地の状況を踏まえ、最も緊急性の高い支援は「安全なシェルターの確保」であると判断しました。ただし、現在は自宅への立ち入りや修理が禁止されているため、人々は仮設生活を余儀なくされています。この禁止が解除されれば、自宅の修復が始まり、仮設住宅は不要になる可能性もあります。

一方、Kal-anan小学校の校舎は全教室が深刻な損傷を受けており、主棟である3階建ての建物は取り壊しが決定しています。教育省による授業再開の許可はまだ下りておらず、仮に再開が認められても、子どもたちが安心して学べる環境は整っていません。

そのため、DAREDEMO HEROでは、行政・地域・学校と連携し、Kal-anan小学校の敷地内に大型テントを設置する準備を進めています。このテントは、当面は避難者の安全なシェルターとして使用し、授業再開後には子どもたちの仮設教室として活用できるよう設計します。

被災地の人々が少しでも安心して過ごし、子どもたちが再び学びの時間を取り戻せるよう、現地のニーズに即した支援を進めてまいります。

今後の展望 ―「震災前の生活を取り戻す」ために

DAREDEMO HEROは、単なる緊急支援にとどまらず、被災地の中長期的な復興を見据えています。被災地で活動する若者たちと協力し、地域の復興・防災を担う人材育成にも取り組んでいきます。

災害と貧困の境界は曖昧です。
だからこそ私たちは、被災者が支援に依存することなく、自らの力で立ち上がり、生活を再建できるよう寄り添っていきたいと考えています。

最後に ―支援者の皆さまへ

皆さまの温かいご支援のおかげで、支援が届きにくい地域にも光が届き始めています。現地の人々の「笑顔」と「ありがとう」の言葉が、どれほど多くの希望を生んでいるか、改めて実感しています。

地震発生から日が経つにつれ、人々の関心は急速に薄れつつあります。しかし、被災地の人々の生活はまだ改善されておらず、むしろこれからの「復興」の段階こそが最も困難です。地震で大切な家族や友人を失った方々の深い悲しみ、そしてこれまでに経験したことのない恐怖を味わった子どもたちの心の傷は、時間をかけて寄り添っていく必要があります。

私たちは、物資や設備の支援だけでなく、人々の心に寄り添う支援を続けていきます。一日も早く、人々が地震の前の穏やかな生活を取り戻せるように——。
DAREDEMO HEROは、被災者の歩みに寄り添いながら、希望の灯をともしていきます。

ご支援いただいた皆さまと共に、セブの復興に向けて歩んで行きたいと思います。

2025年10月9日現在
総支援額:3,330,430円  支援者数:256名様

現在、2回に分けて2,100,000円を、現地NGOに活動資金として送金しています。

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