セブ市の規制強化の目玉となる、新外出許可書の発行ですが、発表から既に10日以上が過ぎましたが、様々な問題が露呈しています。
突然の廃止された旧外出許可書
6月24日に、これまで使われていた外出許可書が突然廃止されました。当時は廃止後の明確なビジョンが発表されておらず、人々は非常に混乱しました。
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▶「混乱するセブ市の人々~今、セブ市には何が起きているのか~」
新たなQRコード付き外出許可書
今回配布された新しい外出許可証は、以前のようにいつでも外出できるものではありません。QRコードが新しい許可証に添付されているのですが、そこに記されている番号で外出できる曜日が決まっています。
日曜日は、全ての人が外出を禁止されているため、普段は人でにぎわうHERO’S HOUSE前のメイン通りも、写真のように閑散としています。
さらに、住んでいるバランガイの名前が記されており、基本的には外出許可書が発行されたバランガイ内のみ外出が許可されています。
セブ市は7月1日から7月15日まで、ロックダウンが延長されることが決まっており、この外出許可証により人々の規制はより厳しくなりました。
外出許可書が届かない!?
新しい外出許可書は、旧外出許可書同様、バランガイ職員が各家庭を巡回して配布しました。しかし、今、その数が絶対的に不足しており、大きな問題になっています。
旧外出許可証の発行数は約25万枚でした。それに対して、今回配布された新しい許可証は約18万枚を発行するという発表がありました。
25万枚発行していた時でさえ、外出許可証を受け取ることができず、外出できなかった人がいたにも関わらず、その時よりも、約7万枚減らした新しい外出許可証が、全員に届くわけがありません。
その為、現在多くの人々が、近所の人や同じ建物に住む人同士で、外出許可書を共有して使っています。
写真のような、A4サイズの大きな紙を、近所の人で貸し借りしなければならないため、自ずと人との接触も増えます。外出時は首から下げて使う人も多く、そこに菌が付着してしまう可能性もあります。
外出許可証が配布されていない貧困地区
当団体が支援している子どもたちの2人が生活しているZapatera地区という貧困地区があります。この地区は4月から2ヶ月以上、トータルロックダウン(完全隔離措置)が続いており、新型コロナウィルス感染症に感染していない、という証明書を持っている人だけが外出を許されていました。
しかし、今回の新しい外出許可証はこの地区には未だに配布されていません。そのため彼らは再び、外出をすることができなくなってしまいました。
外出できない貧困層の人々
ロックダウンが7月15日まで延長になったことにより、少なくともそれまでは、経済の回復は見込めません。外出が禁止されていることにより、自営でどうにか生き延びてきた貧困層も、収入を得ることがさらに難しくなりました。
貧困層は、仕事も収入も失い、さらに外出の自由も失っています。行政の支援は十分ではなく、いつまでつつくか分からないこの状況に、人々は希望を失いつつあります。そんな中で、少しでも彼らに希望を与えられるような支援活動を続けていきたいと思います。