新型コロナウィルス感染症が流行している中、病院に診察を受けると、驚きの診察費用が請求されました。

DAREDEMO KIDSを病院に

DAREDEMO HEROでは、ロックダウンの影響で職と収入をなくした奨学生の家族を支えるため、定期的に特別支援金の配布を行っています。同時に、子どもたちにはそれぞれのレベルにあった宿題や課題を配布しています。現在子どもたちが外出できず、私たちも子どもたちの家まで行くことができないため、それぞれの保護者とチェックポイント(検問所)で待ち合わせをして行っています。

先日、チェックポイントにやってきたリックの父親から「リックが宿題を終わらせることがでできなかった。」と伝えられました。いつも勉強熱心な彼が宿題を終わらせていないことを不思議に思い、理由を聞きました。

すると彼は、ここ2週間体調が悪く、咳が止まらず呼吸をすることも困難な状態ということでした。彼はもともと喘息を患っており、これまでも度々発作を起こしていました。今回も喘息の発作なのか、もしくは新型コロナウィルス感染症なのか、しっかりとした検査を受けなければ分かりません。

数日前にリックの家のすぐ裏手で感染者が報告されたばかりでした。仮に感染をしていれば、喘息のあるリックにとっては命に係わる危険性があります。
そこで私たちはすぐにリックと母親、父親を連れ、病院に向かいました。

驚きの請求金額

検査の結果、リックは陰性だと判断され、新型コロナウィルス感染症にはかかっていませんでした。私たちスタッフとリックの家族はひとまず安心しました。

そして診察費を払おうと請求書を見ると、6,964ペソ(日本円で約15,000円)と書かれていました。この金額は貧困家庭の1か月分の世帯収入に匹敵します。

何にそこまでの費用が使われているのか確認すると、検査に当たった医者、看護師などが使用した防護服、マスク、ゴム手袋の費用が含まれていたのです。

しかも、マスクは1つ196ペソ(約415円)と高く、4人がリックの検査に当たったのかマスクの個数も4つと書かれており、マスクだけで約1,600円の請求でした。
他の防護服なども使用した数の全てを請求されていました。

その費用だけで3,844ペソ(約8140円)と全体の請求金額の半分以上を占めていました。

貧困層の味方?バランガイヘルスセンター

では通常貧困層が、新型コロナウイルス感染症にかかったかもしれない!と思ったら、どうしているのでしょうか?

実は、各バランガイ(最小自治体)にはヘルスセンターがあり、そこで検査の必要性が認められた場合、無料で抗体検査を受けることができます。しかし、その結果が出るのにはなんと!一週間ほど時間がかかっていました。
これまでの集団感染も、この抗体検査を待つ間、感染者が自宅待機をしており、そこから感染が広がってしまったケースも多く報告されています。

リックのように、基礎疾患のある人々にとっては、この待機時間が命取りとなるケースもあります。


リックの住むバランガイLUZのヘルスセンター

体調が悪くても病院に行けない貧困層の人々

現在貧困地区で、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状があっても、検査を受けたり病院に行かずに、隠している人々がたくさんいることが問題になっています。

彼らは好きで症状を隠しているのではありません。仮に、感染が疑われた場合、外出が一切できなくなります。陽性の判断が出れば、自分だけでなく家族全員が外出できなくなります。その間、地域によっては最低限の食糧支給はありますが、収入は完全に断たれてしまいます。
さらに、小さなコミュニティーの中で感染が報告されれば、コミュニティー全体がパニックとなり、コミュニティー隔離も実施されます。そうなれば、コミュニティー全体に大きな迷惑をかけてしまいます。

症状が悪化し、病院に入院するようになれば、医療費の問題がのしかかってきます。劣悪な環境の公立病院よりは、家でじっとしていることを選ぶ感染者もいます。無症状患者に対する隔離施設も建設が進んでいますが、実際に運用されている場所は限られています。

貧困層は、家族や地域のためにも、感染の疑いがあっても、その症状を隠し家にいることを選んでいるのです。その選択が、現在最悪の結果をもたらしています。セブ市内では、貧困住宅密集地区での大規模感染が続いています。

感染拡大防止には、貧困層でも安心して検査と治療が受けられる体制を政府が整えることも必要なのではないかと思います。


コミュニティ毎にチェックポイントがあり、住民以外中に入る事ができなくなっています。