DAREDEMO HEROでは、風に立つライオン基金 様のご支援を受けて、女性の権利と健康衛生の向上事業を行なっています。3年目となる今年、周産期の母子を守るための事業に取り組んでいきます。
▶これまでの支援は「こちら」をご覧ください。
貧困層の女性を取り巻く環境
フィリピンは、女性の社会進出率、管理職率共にアジアで上位に位置しており、男女平等が進んでいる国ともいわれてます。しかし、企業の役職に就ける女性は、高等教育を受けた女性であり、貧困層の女性の地位はまだまだ低いままです。特に農村や漁村など、男性の力がなければ生活が難しい地域では、都市部よりも問題が深刻です。
問題は様々ですが、多くが「知識の不足」や「昔ながらの慣習」から生じています。そこで、DAREDEMO HEROでは女性に対して自分らしく生きるための幅広い知識を提供しています。
これまでの活動
1年目:生理の基礎、女性疾患及び泌尿器疾患の基礎、妊娠のメカニズム
2年目:HIV/AIDSを始めとする、STIs(性感染症)の知識普及
2年間の活動を通じて、支援地区の女性はたくさんの知識を得ることができました。同時に、これまで自分が信じてきたものの中に、間違った知識があることにも気づくことができました。
セミナーだけではなく、2年間を通じて布ナプキンの普及にも力を入れました。貧困層の女性は、生理用ナプキンよりも子どものミルクやお米を買わなければならないことがあります。その場合、同じナプキンを使い続け、結果的に自身の健康を害してしまうこともありました。洗って何度でも使える布ナプキンは、参加者にとても好評です。
さらに2年目には実際にHIV、STIs、乳がん等の無料検査を行いました。中には早急に治療が必要な受益者もおり、早期発見により命をつなぎとめることができました。彼らは自覚症状があっても病院代を心配して、症状を訴えることが出来ていませんでした。無料もしくは低料金で受けられる医療を紹介することで、受益者の負担を減らし、適切な医療につなげることができました。
3年目の挑戦
3年目となる今年度、引き続き風に立つライオン基金 様の助成を受け、周産期の母子を守るための活動を行います。
フィリピンでは、周産期医療は健康保険でカバーされますが、そもそも貧困層は健康保険に加入できておらず、通常分娩以外の出産に関して受けられる医療に限界があります。そのため、妊産婦死亡率は10万人当たり121人(日本の約24倍)、新生児死亡率は1000出産当たり13人(日本の約15倍)と厳しい状況が続いています。
※R4年度経済産業省発表)
独自の聞き取り調査でも、120世帯中23名が、死産及び出産直後に子どもを亡くした経験があると答えており、10代の若年妊娠も多く、中には14歳で初めての出産をしている受益者もいます。
今年度は、周産期から新生児期における誤った慣習を正し、母子にとって必要な正確な知識を提供することで、貧困層の限られた金銭的、環境的要素の中で最大限健康な生活を築けるよう支援します。また、周産期の母親が一番身近に接するバランガイヘルスワーカーに、最新の情報とネットワークを提供し、住民が必要な社会資源にアクセスするサポートを行っていきます。
今年度も引き続き、命を守るための活動を続けていきます。