DAREDEMO HEROでは「保護者が子どもたちに必要な教育を提供できる」本来あるべき姿を実現するために、保護者のライフスキルや所得、地域力の向上を目指し、様々な自立支援活動を行っています。
その一つが風に立つライオン基金様のご支援を受けて行っている女性の権利と健康衛生の向上事業です。
本事業では、若年妊娠を経験した当事者が主体となり、ドキュメンタリー映像の制作や性教育セミナーの実施を通じて、地域住民や同世代の若者に対するリスク啓発を行います。さらに、ネイル技術講習による経済的自立支援も実施します。
これにより、多くを諦めざるを得なかった女性たちに希望と自信を取り戻す機会を提供するとともに、若年妊娠が多発する貧困層の少女たちに対しては、教育機会の創出と自己選択を可能にする環境づくりを推進し、貧困の連鎖を断ち切ることを目指します。
これまでの支援は「こちら」をご覧ください
彼女たちの背景
狭くて、息が詰まりそうな一部屋。
そこに、キッチンも、寝る場所も、生まれたばかりの赤ちゃんも、すべてが詰まっている。
そんな場所に暮らす若年妊娠を経験した母親たち。
ゴミが散乱する小道を抜け、明かりの差し込まない部屋にたどり着くと、彼女たちの現実が静かに語りかけてきます。
彼女たちの間に共通して見られたのは、幼少期における困難な経験でした。多くが壊れた家庭や機能不全な家庭で育ち、親からの愛情や保護を十分に受けられず、暴力や虐待にさらされたと語っています。
そうした中で、愛されたいという思いから若いうちに恋愛関係に入り、やがて妊娠します。最初は「やっと愛された」と思った彼女たちも、現実は厳しく、早すぎる母親になることの重さに直面します。
教育の中断、社会の偏見、経済的困難――支援のない中で母親になることは、計り知れない試練を伴います。
子どもだった自分がまだ自分自身のことを知らないまま母になり、
教育を中断し、仕事にも就けず、支援の少ない中で子どもを育てる日々。
それでも彼女たちは、子どものために立ち上がろうとする強い意志をもっています。
そんな彼女たちを対象に、DAREDEMO HEROは今年度、若年妊娠者のセルフエンパワメント及び当事者によるリスク啓発を行います。その一環としてネイル技術研修を行っています。


ネイルケアは「技術」ではなく「生きる力」
研修には、日本人講師を招きました。
講師自身もかつて若年妊娠を経験し、夢を諦めかけた過去を持ちます。
それでも彼女は、技術を磨き続けた結果、今ではプロの講師として活躍しています。
「母親になったからといって、夢は終わらない。母であることが、夢を叶える理由にもなり得る。」
彼女の話は、参加者たちにとって大きな励みとなりました。


ネイル研修
ネイル研修では、爪や皮膚の構造、感染症の予防、衛生管理の方法などを、基礎から丁寧に学びます。
ネイルを職業とすることは、決して簡単な道ではありません。爪と皮膚の仕組み、病気やトラブル、そして衛生管理――習得すべき知識と技術は多岐にわたります。
赤ちゃんの世話をしながら講習を受ける参加者たちの姿からは、母親としての大変さがひしひしと伝わってきました。
それでも懸命に話に耳を傾け、講師の実演中には目を輝かせる彼女たちの様子からは、「現状を変えたい」という強い意志が感じられました。
講習後には、
「爪と皮膚の構造や衛生管理、爪の病気についての基本的な知識を習得し、安全なネイルケアの重要性を深く理解することができた」
「講師自身の体験を聞き、大きな励ましと希望を得た」
などの前向きな感想や、講師への感謝の言葉が多く聞かれました。


メッセージ
彼女たちが伝えたいのは、「若年妊娠は間違いだった」と責めることではありません。
「愛されることに焦らないで。自分を大切にして、夢を追いかけて。
私たちの経験から学び、もっとよい道を選んでください。」
経験者だからこそ伝えられる、真摯で切実な願いです。
DAREDEMO HEROは、これからも若年妊娠経験者たちの「声」を伝え、セブのリアルな問題を伝え続けます。
小さな一歩が、いつか誰かの未来を変えると信じて。
